2003 Fiscal Year Annual Research Report
無機・有機複合層状半導体における励起子間相互作用の研究
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15740189
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 誠 独立行政法人理化学研究所, 励起子工学研究チーム, フロンティア研究員 (80332310)
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Keywords | 励起子非線形性 / 励起子間相互作用 / 無機有機複合層状半導体 / 誘電閉じ込め / 光シュタルク効果 / 励起子分子 |
Research Abstract |
1.無機有機複合層状半導体(C_6H_5C_2H_4NH_3)_2PbI_4における励起子-励起子相互作用を調べるために、励起子共鳴励起条件下のサブピコ秒過渡吸収分光をおこなった。測定温度は約10K。その結果、ポンプ光とプローブ光の偏光配置に依存する、励起子の顕著な高エネルギーシフトを観測した。σ+σ+偏光配置では、励起子共鳴はポンプ光照射直後から強く高エネルギーシフトしており、時間と共にシフト量は減衰する。いっぽう、σ+σ-配置では、シフトは0.5ps程度の立ち上がりをもち、1ps程度のうちにσ+σ+配置と同程度のシフト量となる。以上の結果を、励起子の位置相関を無視できると仮定し、励起子の角運動量緩和を考慮したモデルによって解析した。その結果、同種励起子間の有効相互作用ポテンシャルの期待値は正の値をとるのに対し、σ+励起子とσ-励起子との有効相互作用ポテンシャルの期待値は小さいながらも有限の負の値をとることを明らかにした。この結果は従来重要視されなかった長距離クーロン相互作用の重要性を示している。2.励起子光シュタルク効果における励起子間相互作用の役割を調べるために、(C_6H_5C_2H_4NH_3)_2PbI_4の励起子光シュタルク効果の離調依存性をポンププローブ分光法により測定した。測定温度は約10K。その結果、σ+σ-およびxx配置においては、励起子-励起子分子遷移共鳴エネルギーの前後におけるシュタルクシフトの共鳴増大と正負逆転を明らかにした。また、全ての偏光配置において、単純なdressed excitonモデルよりも強い離調依存性を明らかにした。さらに、これらの現象を、励起子分子と非束縛2励起子状態を考慮したモデルを用いて定量的に説明し、強い離調依存性が非束縛の2励起子状態に起因することを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Shimizu, J.Fujisawa: "Exciton-exciton interaction in an inorganic-organic layered semiconductor, (C_6H_5C_2H_2NH_3)_2PbI_4"Journal of Luminescence. (In press). (2004)
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[Publications] M.Shimizu, N.A.Gippius, S.G.Tikhodeev, T.Ishihara: "Coulomb correction to the dressed exciton in an inorganic-organic layered semiconductor : detuning dependence of the Stark shift"Physical Review B. 69(In press). (2004)