2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740214
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
秋元 郁子 和歌山大学, システム工学部, 助手 (00314055)
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Keywords | C60単結晶 / 光キャリア生成 / 輸送過程 / 飛行時間測定法 |
Research Abstract |
本研究では、C_<60>単結晶におけるキャリア生成とその輸送過程、並びにその構造相転移との関連性を、異なる素励起状態を選択的に初期生成させることで明らかにすることが目的である。すなわち、熱解離エネルギーや、ホッピング拡散、欠陥による捕獲と再解離など、光キャリア生成に関与するパラメータを異にすると推定される異種励起子のそれぞれに対して、光キャリアの最終生成量子効率を規定している因子が何かを解明することがねらいである。 既設の断続光を用いた位相同期検出法による光伝導観測をC_<60>単結晶について接触電極(2端子法)を用いて行ったが、再現性のある結果は得られなかった。これは電極に使用した金が試料中に拡散して試料表面でのキャリア生成・輸送過程を変えたことが原因と思われる。そこで、非接触型のブロッキング電極を用いた飛行時間測定法(TOF)による時間分解測定をすることにし、装置を立ち上げた。交付金で購入したエレクトロメーターの電圧出力をパルス化するための外部タイミング回路を作製し、現有のナノ秒OPOレーザーと同期させて電圧印加することが可能になった。また、TOF法による測定に不可欠である平坦な表裏面を持つ単結晶を気流輸送法により作製した。非接触型の電圧印加の下、可視から紫外域のレーザーパルス光でキャリア生成し、その時間応答、時間積分キャリア生成効率などを明らかにする準備が整った。 一方で、輸送過程のモルフォロジー依存性についての知見を得るために、薄膜試料を用いたTOF測定をする準備を進めた。そのために、貴重な少量の原料から薄膜を作製するための、小型蒸着膜作成装置を自作し、現在良好な蒸着膜試料を得るに至つている。
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