2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧下物性測定装置の開発と量子臨界点近傍で現れる磁性と超伝導の共存現象の研究
Project/Area Number |
15740218
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
立岩 尚之 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (50346821)
|
Keywords | 強相関電子系 / 高圧下交流比熱測定 / 異方的超伝導 / 圧力誘起超伝導 / CePt_3Si / 反転対称性 |
Research Abstract |
平成16年度はまず日本原子力研究所先端基礎研究センターにおいて超高圧下物性測定装置の開発を行い、一辺の長さが0。2mm程度の微小試料に直径0.01mmの金線電極を接着するシステムを構築した。その後、このシステムを用いてA岳Fe系熱電対を利用した高圧下交流比熱測定を始め、1mg以下の微小試料でも80mKの極低温下まで比熱測定が可能となった。以上の準備期間の後、昨年発見された重い電子系超伝導物質CePt_3Siの高圧研究を始めた。 CePt_3Siは反強磁性秩序と超伝導状態が共存した重い電子系超伝導物質であり、結晶構造の対称性に反転対称がない。上部臨界磁場の温度依存性の解析などからp波型クーパー対の可能性が指摘された。しかし、反転対称性のない結晶構造ではp波型超伝導の実現は不可能と以前より理論的に指摘されてきた経緯があることから、CePt_3Siの超伝導のメカニズムについて多くの関心が寄せられている。 この物質の圧力相図はまだ作成されておらず、相転移温度の圧力依存性などは不明である。私はCePt_3Siの高圧下比熱測定を行い、反強磁性・超伝導転移温度の圧力依存性を調べた。反強磁性転移温度は加圧と共に減少し、0.6GPa近辺で消滅する。この臨界圧力をP_<AF>とする。一方、超伝導転移温度は加圧と共に単調に減少するが、P_<AF>以上の1.5GPa近辺まで安定に存在し、バルクの超伝導相は幅広い圧力領域で存在することが明らかとなった。ここ数年大きな関心を集めたCeIn_3, CeRh_2Si_2, CePd_2Si_2などの圧力誘起超伝導物質では反強磁性転移は加圧と共に減少し、磁気秩序相が消滅する量子臨界圧力近傍の狭い圧力範囲でのみ超伝導が出現する。一方、3ePt3Siの圧力相図はこれらの物質と異なり、新しいタイプの重い電子系異方的超伝導が実現していることを示唆する。
|
Research Products
(6 results)