2004 Fiscal Year Annual Research Report
物理系における動的な情報表現に関する数理統計学的研究
Project/Area Number |
15740236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 裕也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40344048)
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Keywords | 情報表現 / 結合振動子系 / 位相同期現象 / 時空カオス / 独立成分分析 |
Research Abstract |
物理系における動的な情報表現という観点から、非線形振動子の多体系の挙動を解析した。今年度は主としてふたつのテーマを重点的に解析した。最初のテーマは、変動外部入力による非線形振動子の位相同期現象である。皮質の神経細胞が変動入力電流を受けると、そのスパイク生成タイミングの精度が向上することが実験的に知られている。この現象のメカニズムを明らかにするために、簡略化したモデルとして、3種類の典型的な神経細胞のモデルに2値のみを取るランダム電信電流を与えた情況を考え、これを位相縮約などの非線形物理の手法を用いて解析した。その結果、一般に、非線形振動子がある程度弱く、2値間のジャンプ頻度が少ないランダム電信電流で駆動された場合、常に位相同期現象を示すことを明らかにした。この結果について、2004年秋に青森で行われた物理学会にて口頭発表し、また雑誌に論文として掲載した。さらに、外部入力としてインパルス型の入力を与えた場合についての解析も進め、現在その投稿論文を準備中である。ふたつ目の研究テーマとしては、独立成分分析と呼ばれる手法を用いて、空間的に広がりを持つ非線形振動子媒質の示す時空カオス状態を解析した。その結果、従来の主成分分析を用いた解析に比べ、系の特徴を良く捉えた基底ベクトルが得られ、またその係数も時空カオスの特徴を良く反映することを明らかにした。この内容に関しても、2004年秋の物理学会にて発表し、また雑誌に論文として投稿中である。さらに、申請時に主たるテーマとして挙げた位相振動子の大域結合系による外部パラメータの情報表現効率を解析する研究に関しても、その拡張を試みた。
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Research Products
(1 results)