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2004 Fiscal Year Annual Research Report

カオス的な量子動力学の誘発する絡み合いと干渉破壊の半古典解析

Research Project

Project/Area Number 15740241
Research InstitutionTokyo Metropolitan University

Principal Investigator

田中 篤司  東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20323264)

Keywords量子カオス / 複素半古典論 / Stokes現象 / Caustic / 摂動Arnold描写像
Research Abstract

本研究課題は,カオス的な量子動力学の誘発する絡み合いと干渉破壊に関して,複素半古典論の言葉で表現された,Stokes現象を利用した,新しいシナリオの検証を目指しています.本年度は,Stokes現象を支配する焦点(caustic)の配置について,専ら数値実験を用いた研究を遂行しました.
これまでの研究(標準写像での数値実験および,摂動を受けたArnold猫写像での短時間,強カオス極限での漸近挙動の解析)から,強いカオス系での焦点配置はカオス系の引き伸ばし動力学に,弱い非線型性が加わるシナリオで理解できることが示唆されていました.
このことを,より一般の場合で確認するため,摂動を受けたArnold猫写像の数値実験で焦点の配置を観察しました.摂動の大きさが有限で,かつ,元の写像と位相的な等価性が保たれる場合(以下弱結合領域と呼びます),既存の強カオス系でのシナリオが成立します.つまり,Gauss波束近似的な描像で理解できる,確率振幅の不安定方向への"へばり付き"と,それに直交した方向から,焦点が刺さる様子を確認しました.これらの焦点の配列は比較的整然としています.このことは,適当な変換の下で,短時間での摂動を受けたArnold猫写像へ還元することで定量的に理解できる可能性を示唆します.さらに,これらに関する知見は,(対応する古典論が)双曲的な系における,Gauss波束動力学の次のレベルの近似法を構築する下地となる可能性があります.
強結合領域では,焦点の整然とした配列は破壊され,それに応じて確率振幅のへばり付きも強い変形を受けます.標準写像のような,カオスとトーラスの混在する系では,こちらが一般的であるように思われます.
また,これまでの数値実験からは,弱結合領域と強結合領域の境界となる結合定数の値は,写像のステップに依存しない可能性があります.この点については,より多くの数値実験で検証を重ねる必要があると考えます.

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Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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