2003 Fiscal Year Annual Research Report
量子カオスの準位統計に関する理論研究および微小光共振器に対する実験研究
Project/Area Number |
15740244
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
牧野 浩典 東海大学, 電子情報学部, 講師 (40338786)
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Keywords | 量子カオス / エネルギー準位統計 / 微小光共振器 |
Research Abstract |
量子系のエネルギー準位統計についての研究 可積分量子系のエネルギー準位間隔分布を独立な準位成分の数を無限大にとる際の弱収束極限として導出する一般理論を構築した。この極限において得られる分布を用いて、量子系の統計則が示す様々な可能性を議論した。可積分量子系の準位間隔分布は準位成分に強い集積が生じる場合に原点付近においてポアソン分布からはずれ、集積が更に強くなるとサブポアソン分布に一致することがわかった。 次に、この理論を近可積分系に応用し、ベリー・ロブニック公式を一般化した新しい準位間隔分布公式を考案した。この公式はベリー・ロブニック公式からのずれを議論できる点が特徴である。数値計算による多くの研究では準位間隔分布がベリー・ロブニック公式に一致しないといわれているが、我々の考案した理論はその原因の一つがスペクトルの可積分成分における強い準位集積にあるという一つの可能性を提案している。 現在、これらの理論を更に発展させ、ロングレンジのスペクトル相関(Δ統計やΣ統計など)に応用する研究を進めている。 微小光共振器におけるモード形成と超高速自己変調 市販の固体レーザにおいて、高効率なOval Hollow Mode発振、非直交モードの形成、および、モード間の干渉効果による高速変調(通常発振時の500倍)を発見した。また量子ビリアード研究において理論的に予想されていた発振モード間の準位非交差などを実験的に検証することができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Makino, S.Tasaki: "Level spacing statistics of classically integrable systems -investigation along the line of the Berry-Robnik approach-"Physical Review E. 67. 066205--1-066205--8 (2003)
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[Publications] Hironori Makino, Shuichi Tasaki: "Non-Poissonian level spacing statistics of classically integrable quantum systems based on the Berry-Robnik approach"Progress of Theoretical Physics. 150 Suppl.. 376-380 (2003)
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[Publications] 牧野浩典, 田崎秀一: "ベリー・ロブニックの仮定を出発点とする可積分量子系の準位統計"物性研究. 80・1. 150-154 (2003)
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[Publications] K.Otsuka, J.-Y.Ko, H.Makino, T.Ohtomo, A.Okamoto: "Transverse Effects in a Microchip Laser with Asymmetric End-Pumping : Modal Interference and Dynamic Instability"Journal of Optics B : Quantum and Semiclassical Optics. 5. R137-R145 (2003)
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[Publications] Hironori Makino, Shuichi Tasaki: "Deviations from Berry-Robnik distribution caused by spectral accumulation"Journal of Physical Society Japan. Vol.72 Suppl.C. 97-100 (2003)