フィードバック効果による反応拡散パターンの制御とその応用

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15740249
• Research Institution: Ube National College of Technology
• Principal Investigator: 桜井 建成 宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (60353322)
• Keywords: 非平衡解放系 / 反応拡散系 / 光フィードバック / リアルタイムフィードバック制御 / ベローゾフ-ジャボチンスキー反応

Research Abstract

生体内信号処理や自然現象では、発生したパターンの情報を利用しフィードバックをかけ新たな情報処理を行うなど、現象の更なる発達に使われている.しかしながら、従来の研究では、そのようなフィードバック機構によるパターン形成の報告は十分ではない。本研究の目的は、フィードバック機構を用いることにより初めて創成される動的秩序形成の提案とその制御である。それらを実験・数値実験・電気回路により実現し、生体信号処理や自然現象の理解や制御を行う。また本研究の特色は、秩序構造の制御を実験・数値実験・解析・数値解析を用いて多面的に捉えることである。本研究では、自己組織化における時間・空間的秩序構造の代表的な例として知られる、Belousov-Zhabotinsky (BZ)反応を用いた秩序構造制御の研究を下記のように行った。
1.リアルタイム光フィードバックシステムの開発
2.ラセン状化学反応波の安定化と伝搬方向の制御(BZパケットの実現)
3.数値実験によるBZパケットの再現
4.BZパケットに対する曲率方程式の導出とそれによる数学的解析
これらの結果は、光刺激をもちいたネガティブフィードバック機構を加えることにより、化学反応レベルでの情報伝達(BZパケット)の粒子的伝播とその制御の可能性を示した。更に、BZパケットの分裂や衝突など、粒子(例えば電子など)と似た振る舞いをすることを確認し、新たな情報処理手法の提案を行いつつある。

Research Products

• [Publications] T.Sakurai, H.Miike, K.Okada, S.C.Muller: "Spiral Flow Wave in a Reaction-Diffusion-Convection System"J.Phys.Soc.Jpn.. 72,9. 2177-2180 (2003)
• [Publications] A.Nomura, M.Ichikawa, K.Miike, M.Ebihara, H.Mahara, T.Sakurai: "Realizing Visual Functions with the Reaction-Diffusion Mechanism"J.Phys.Soc.Jpn.. 72,9. 2177-2180 (2003)
• [Publications] 海老原 麻由美, 真原 仁 桜井 建成 野村 厚志 長 篤志 三池 秀敏: "反応拡散モデルによるノイズを含む画像・低コントラスト画像からの領域分割とエッジ検出"画像電子学会誌. 32,4. 378-385 (2003)
• [Publications] M.Ebihara, H.Mahara, T.Sakurai, A.Nomura, H.Miike: "Image Processing by a Discrete Reaction-Diffusion System"Proceedings of the Third IASTED International Conference on Visualization, Imaging, and Image Processing. 1. 448-453 (2003)
• [Publications] H.Miike, T.Sakurai: "Complexity of oscillatory flow induced by spiral waves in the Belousov-Zhabotinsky react ion"FORMA. 18,4. 197-219 (2003)
• [Publications] T.Sakurai, O.Inomoto, H.Miike, S.Kai: "Behavior of propagating surface deformation coupled with oscillatory flow in spiral waves"J.Phys.Soc.Jpn.. 72,2. 485-490 (2004)