2003 Fiscal Year Annual Research Report
量子情報の符号化・復号化と多粒子間エンタングルメントを用いた量子情報処理
Project/Area Number |
15740250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村尾 美緒 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30322671)
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Keywords | 量子情報 / エンタングルメント / 量子暗号 / 量子情報 / 量子通信 |
Research Abstract |
本年度は、量子情報の符号化・復号化に関する量子一方向関数の導入に向けて、量子ビット系・連続変数系・離散多準位におけるエンタングルメントの新しい性質の探索と量子情報処理への応用に関する研究を行い、次のような成果を得た。 量子ビット系に関しては、多量子ビットエンタングルメントを用いて2量子ビットに符号化した量子情報を用いて、局所的演算と古典的通信のみでは情報を共有する2者のうち片方にのみ量子情報の抽出が可能、というような「量子情報の不公平分配」を行うための必要十分条件を求め、非対称量子情報共有プロトコルを提案した。研究成果はカナダおよびカリフォルニアでの国際会議で発表され、論文は現在準備中である。 連続変数系に関しては、集合論を用いたエンタングルメント変換性に関する一般論の構築に成坊することにより、離散変数系には現れない連続変数系独自のエンタングルメントの性質(純粋状態で相互変換不可能な状態が存在すること)を発見した。この性質は、予想外にも数学的性質の違いによる量子物理の基盤的な構造の違いを示し、量子情報処理への応用も期待されている。この結果は、シンガポールおよびカリフォルニアでの国際会議で発表され、また現在論文を投稿中である。 離散多準位系に関しては、完全混合状態の離散多準位系を更に大きな空間に埋め込むことによって、ビームスプリッターを用いてエンタングルメント生成が可能であることを示した。そして、様々な次元の空間に符号化した量子情報を用いた量子情報処理の可能性を示した。この研究成果は、現在論文を投稿中である。
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