2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740261
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中谷 香織 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (50323861)
|
Keywords | 界面活性剤膜 / マイクロエマルション / 高分子鎖 / 閉じ込め / 構造転移 / 小角中性子散乱 / シリンダー |
Research Abstract |
目的: 本研究の目的は、球状マイクロエマルションに高分子鎖を強く閉じ込めることで現れたシリンダー構造の形成機序を明らかにすることである。本年度は、孤立系球状マイクロエマルション(droplet)に様々な強さで高分子鎖を閉じ込め、形成したシリンダー構造の半径・長さ等の構造パラメータを求めた。 研究方法: 具体的に研究対象となる系は、界面活性剤としてイオン性のAerosol-OT、水、油としてイソオクタンを用い、高分子はゼラチンを使用した。 1)界面活性剤と水のモル濃度を変え、用いる高分子鎖の慣性半径と同程度の大きさのdropletを調製し、その条件でdroplet1個に1〜数本の高分子鎖を閉じ込めることで閉じ込めの強さを制御した試料を調製し、相図を作製した。 2)様々な強さで高分子鎖を閉じ込めたマイクロエマルションのモルフォロジーは、小角中性子散乱法を用いて明らかにした。得られた散乱曲線に対して球状体および回転楕円体モデルを用いて解析し、形成したシリンダー状膜の構造に関するパラメータ(シリンダーの半径、長さ、シリンダー1本に含まれる高分子鎖数)を抽出した。 結果: 球状の膜に高分子鎖を強く閉じ込めることで、膜構造は球から他構造への転移が生じるが、その際、i)膜の弾性エネルギー、ii)高分子鎖のコンフォメーションのエントロピー、iii)高分子鎖のセグメント間の相互作用エネルギーからなる系の自由エネルギーが最小となる構造が選択される。実験から、閉じ込めの強さを大きくしていくことで、高分子鎖のコンフォメーションのエントロピーによって膜構造の球・シリンダー転移が誘起され、そのシリンダー構造のサイズは、非圧縮条件から決まることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Nakaya, M.Imai, S.Komura, N.Urakami: "Morphology Transition from Sphere to Rod by Confining the Polymer Chains in a Dilute Microemulsion System"American Institute of Physics Conference of Slow Dynamics 2003. (In press). (2004)
-
[Publications] 中谷香織, 今井正幸: "界面活性剤膜+高分子複合系の秩序形成"オレオサイエンス. 第3巻第10号. 531-539 (2003)