中緯度大気海洋系の大規模変動:力学的メカニズムと予測可能性

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15740284
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 渡部 雅浩 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (70344497)
• Keywords: 中緯度大気 / 中立モード / 大気海洋結合モデル

Research Abstract

当初の計画に記したとおり、本研究は中緯度大気海洋系に卓越する自然変動を理解し、その予測可能性について有益な知見を得ることを目的としている。研究の柱として、中程度の複雑さをもつ大気海洋結合大循環モデルを構築し各種数値実験を行うこと、力学大気モデルを用いた大規模行列計算により、大気海洋の変動を「モード」として理解すること、の二つを挙げたが、本年度は、主に後者に重点を置いていくつかの研究成果をあげることができた。
まず、既に構築されている線型力学大気モデルを用いて,中緯度大気循環に卓越する長周期変動が、帯状流-停滞波動結合、ジェット導波管上の準定常波動伝播、準定常波動-ストームトラックの相互作用といったいくつかの力学過程により選択されやすいモードであることを示すことができた。この過程において、ストームトラックの実体である短同期の高低気圧擾乱の新たなパラメタリゼーション手法を開発し、それを準定常大気モデルに組み込んだ。さらに、このモデルを簡単な中緯度海洋モデルと結合して系のモード計算も行った。これについては興味深い成果が得られたが未発表である。また、非線形モデルを用いた理想的条件下での数値実験も行い、中緯度のジェット気流・高低気圧活動・放射強制の間の非線形平衡化の機構を明らかにした。この成果は、今後予定している結合大循環モデルを用いた数値実験のデザインに大きく役立つものである。結合モデルに関しては,大気・海洋とも2層の簡略化したモデルが出来上がっているが、大気部分をさらに空間解像度の高い大循環モデルで置き換えて長期時間積分を行うことは来年度の課題である。

Research Products

• [Publications] Watanabe, M., F.-F.Jin: "Dynamical prototype of Arctic Oscillation as revealed by a neutral singular vector"Journal of Climate. 17(印刷中). (2004)
• [Publications] Watanabe, M.: "Asian jet waveguide and a downstream extension of the North Atlantic Oscillation"Journal of Climate. 17(印刷中). (2004)