2004 Fiscal Year Annual Research Report
後期更新統の北大西洋深海堆積物から深層流の古水理条件を復元するための実験的研究
Project/Area Number |
15740303
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
横川 美和 大阪工業大学, 情報科学部, 助教授 (30240188)
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Keywords | 細粒堆積物 / 堆積実験 / 回流水槽 / 濃度プロファイル / 深層流 / 深海堆積物 / ODP Leg172 / 粒度分析 |
Research Abstract |
本年度は,(1)昨年度作製した回流水槽内の流速分布測定,(2)回流水槽および濃度自動計測システムを用いた細粒堆積物の堆積・輸送に関する実験,および(3)ドイツIFM-GEOMARにおける北大西洋深海堆積物の粒度分析,を行った.詳細は以下の通りである. (1)昨年度作製した回流水槽の特性を知る為,整流装置を数種類作製して,各々の場合の水槽内の流速分布を測定した.その結果,整流装置と網を併用する事により,水槽内の流速の偏りを軽減する事ができた. (2)回流水槽および濃度自動計測システムを用いて,一方向流下での細粒堆積物(ガラスビーズ)の濃度プロファイルの時間変化を測定した.その結果,一方向流中の濃度は時間経過とともに減少するが,やがて平衡状態になる事,実験開始直後に見られる鉛直方向の濃度差は時間とともに減少し,平衡状態ではほとんど濃度差が見られない事,また流速が速いほど平衡状態での濃度が高い事がわかった.また,平衡状態で浮遊している子の粒度分布は投入前のそれとは異なり,流速が速いと元の粒度分布に近く,遅いと粗いものが無くなり細粒側に分布が偏る事がわかった.しかし,細かい粒子もすべて浮遊し続けるわけではなく,一部は沈降する.これは濃度の効果で粗い粒子に引きずられて沈降する現象が起きていると推測される. (3)ODP Leg172で得られた深海堆積物の粒度分析を行った.深海底の細粒堆積物の粒度分析については,X線の透過率を利用したSediGraphによる測定が国際的に標準となっている.申請者がこれまでに得ているデータとの整合性を得る為に,ドイツのIFM-GEOMARの装置を用いて測定した.昨年度前処理したサンプルのうち約半数の測定を終える事ができた.残りのサンプルについては来年度測定する予定である.
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