2003 Fiscal Year Annual Research Report
房総第四系の花粉学的研究による更新世中期の高精度古気候復元
Project/Area Number |
15740311
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
奥田 昌明 千葉県立中央博物館, 生態環境研究部, 研究員 (10311383)
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Keywords | 花粉 / 上総層群 / 銚子コア / 古環境 / 更新世 / 房総 |
Research Abstract |
15年度前半の野外調査の結果、千葉県海上郡飯岡町の一露頭を選定し、層序記載、約50点の試料採取ならびに花粉分析をおこなった。この露頭は犬吠層群横根層〜倉橋層の指標テフラであるYk12〜Kh3,4をふくんでおり、つくば農業工学研究所の中里裕臣博士の分析により上総層群鍵層のKs15-Ch2、酸素同位対比ステージMIS15〜16への対比が確定していたからである。この露頭資料を花粉分析した結果、トウヒ属・ツガ属・スギ属・ブナ属などを中心とする55-65万年前後の貴重な花粉群集変遷が得られた。しかし残念ながらこの露頭を含めて房総丘陵は一概に露頭状態が断続的で、陸上露頭による本研究遂行の難しさを示唆するものでもあった。 そこで上記の仕事と平行して、東大海洋研所蔵のコア堆積物(Choshi-1)の利用を検討した。これは1998年に千葉県銚子市森戸町で採取された総長250mのコアで、テフラはJ4,Ks10-18,Ch1-3,Ku1-6C,U1-8などを含んでおり、40-100万年前までの連続コアであることがはっきりしている。さらにこのコアの長所として最上部を除くほぼ全体が緑灰色のシルト質粘土を中心とした細粒堆積物からなっており、化石花粉を均等に含んでいることがあげられ、本研究にたいへん適している。15年度はこのコア堆積物の上部から試料採取し、予備分析を終了した。16年度中に本分析をおこない、成果公表の準備にかかる。 本年度は1年目ゆえ、印刷まで至った成果はまだ無い。しかしながら飯岡露頭の結果は現在原著論文として投稿中であり、近日中に出版される。また銚子コアの結果は16年度中に出版することを目指している。なお計画の進捗状況は2003年地球惑星合同学会および日本地質学会でそれぞれ口頭発表している。
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