2003 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧実験によるコンドライト隕石の衝撃変成過程の解明
Project/Area Number |
15740316
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
富岡 尚敬 神戸大学, 理学部, 助手 (30335418)
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Keywords | 衝撃変成 / 分析電顕 / 高温高圧実験 / コンドライト / 衝撃溶融脈 / 珪酸塩高圧相 / 急冷結晶化 |
Research Abstract |
成果1)隕石の衝撃溶融脈中での,メルトの結晶化に対する冷却速度の影響を明らかにするため,Lコンドライトメルトの高圧下における急冷結晶化実験を行なった.高温高圧実験は,冷却速度の異なるマルチアンビル高圧発生装置(KHA)(10^3℃/s.於:岡山大固体地球研)と,ダイアモンドアンビルセル(DAC)(10^<6-8>℃/s.於:北海道大・理,セル本体は本研究費の購入備品)を用いて行なった.KHAでの実験は23GPa,2600℃で行い,金属ヒーターで全溶融させた試料を高圧下で急冷した.DACでの実験は,試料を25.1GPaに加圧し,YLFレーザーで2100℃に加熱・急冷した.回収試料は分析電顕で観察を行った.DACの試料はリングウッダイトに加え,メルトの超急冷によるガラスの割合が多いが,KHAの回収試料は粗粒なメージャライト結晶と,その隙間を埋める微細なケイ酸塩高圧相,金属鉄,硫化鉄から成り,その組織はTenham等の隕石に見られる衝撃溶融脈の組織と非常に類似している.以上の結果から,Tenham隕石等に見られる衝撃溶融脈メルトの冷却速度は,KHAでの冷却速度と同程度の10^3℃/sであることが明らかになった.現在,圧力による組織変化を明らかにする目的で,更に高圧領域での実験を進めている. 成果2)上記の高圧実験回収試料との比較のため,天然のHコンドライト隕石の分析電顕による観察を行っている中で,Caに富む輝石の高圧分解反応をはじめて発見した.衝撃溶融脈中に取り込まれた母相のダイオプサイド輝石は固相反応により,メージャライト+ガラスの2相に分解している,ガラス相はCaSiO_3成分に富み,分解時にはペロヴスカイト構造であったものが,衝撃圧減衰時に非晶質化したこと,Hコンドライト母天体はLコンドライト母天体と同程度の衝撃変成を受けたことが明らかになった.
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Research Products
(1 results)