2003 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアおよび腐植物質と希土類元素との相互作用の定量的評価
Project/Area Number |
15740320
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10304396)
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Keywords | 希土類元素 / バクテリア / 腐植物質 / 希土類元素パターン / 水圏 / 錯体 / 吸着 / 懸濁物質 |
Research Abstract |
希土類元素の環境中での挙動に影響を与える因子のうち、主にバクテリアや腐植物質との相互作用に関して研究を進めた.主な成果を以下にまとめる. (1)B. subtilisやE. coliなどのバクテリアの細胞表面への希土類元素の吸着を調べた.その結果、相対的に重希土類元素側でバクテリア相への著しい濃縮が見られた.この様な特徴を示す希土類元素のバクテリアへの分配パターンが、バクテリアと添加希土類元素の濃度比に対して示した変化は、希土類元素の吸着サイトとしてリン酸基とカルボキシル基を考慮して予想した希土類元素パターンと類似の変化を示すことが分かった.また、長野県の中房温泉に発達しているバイオマットおよび温泉水中の希土類元素の濃度を測定したところ、バイオマットには温泉水に比較して相対的に重希土類元素が濃集していることが分かった.これは、先に述べた実験室系での結果と一致しており、天然でのバクテリア相の指標として、希土類元素の重希土類側での濃集が重要であることを示唆する結果である. (2)腐植物質と(Pmを除く)全希土類元素の錯生成定数を溶媒抽出法により決定した.まだ予備的なデータではあるが、錯生成定数の希土類元素パターンの傾きは、水酸化物イオンとの錯体よりも緩やかな傾きを持つ右上がりの傾向を示した.海水などの天然水の希土類元素の固液分配パターン(固相は懸濁物質を指す)では、固相への吸着種として無機酸化物を考慮したモデルが提案される場合がある.しかしこのモデルの場合、希土類元素の固液分配パターンは重希土類側で不一致となる.そこで、有機物が表面を覆った懸濁物質を考えた場合、今回求められた錯生成定数を用いて希土類元素の固液分配パターンを推定すると、天然の分配パターンよりも整合性のあるパターンが得られることが分かった.これは、天然での希土類元素のキャリアとして、有機物がコーティングした懸濁物質を考える必要があることを示している.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Takahashi et al.: "Observation of tetravalent cerium in zircon and its reduction by radiation effect"Geophys.Res.Lett.. 30. 1137 (2003)
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[Publications] Y.Takahashi et al.: "Reply to the comment by T.Monecke, U.Kempe, J.Monecke, and P.M.Herzig on "W- and M-type tetrad effects in REE patterns for water-rock systems in the Tono uranium deposit, central Japan""Chem.Geol.. 185-189 (2003)
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[Publications] Y.Takahashi et al.: "Determination of the As(III)/As(V) ratio in soil by X-ray absorption near-edge structure (XANES) and its application to the arsenic distribution between soil and water"Anal.Sci.. 19. 891-896 (2003)
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[Publications] Y.Takahashi et al.: "Determination of the Ce(IV)/Ce(III) ratio by XANES in soil horizons and its comparison with the degree of the Ce anomaly"Phys.Scripta. (in press). (2004)
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[Publications] Y.Takahashi et al.: "Arsenic Behavior in Paddy Fields during the Cycle of Flooded and Non-flooded Periods"Environ.Sci.Technol.. 38. 1038-1044 (2004)
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[Publications] N.Sakakibara, Y.Takahashi et al.: "Direct Speciation of Tin Compounds in Environmental Samples using Sn K-edge XANES"Chem.Lett.. 264-265 (2004)