2003 Fiscal Year Annual Research Report
ガスハイドレートに生成する放射線誘起ラジカルを利用したナノ反応場の可能性の追求
Project/Area Number |
15750008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷 篤史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10335333)
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Keywords | メタンハイドレート / 電子スピン共鳴 / 自己保存性 / メチルラジカル / 照射効果 / γ線 / 水素原子 / 包接化合物 |
Research Abstract |
日本近海の海底下に存在するメタンハイドレートは資源としても,物質科学の立場からも魅力のある物質である.他の多くの水和物と異なり,メタンハイドレートに代表されるガスハイドレートはガス分子を数個の水分子が囲む包接化合物である.天然のメタンハイドレートは堆積物中に形成されており,堆積物に含まれる放射性同位元素からの放射線を受けている.そこで,本研究ではメタンハイドレートの照射効果を電子スピン共鳴(ESR)法を用いて調べ,その物理化学過程を考察した. 77Kでγ線を照射した人工のメタンハイドレート中にはメチルラジカルと水素原子がみられた.一方,天然のメタンハイドレート中にはラジカル種は確認されず,入為照射後に人工のものと同様のラジカル種を確認した.このうち,メチルラジカルはハイドレートが不安定となる温度を越えても安定に存在していることが確認され,メタンを内包するカゴ構造が崩壊することに伴ってメチルラジカルが減衰していく様子が観測された.このことはメタンハイドレートが持つ自己保存性に関連していると考えられ,ラジカルをプローブとした観測からメタンハイドレートの崩壊の様子を知ることができることがわかった. また,天然のメタンハイドレートに生成するメチルラジカルが人工のものに比べ少なかった.試料採取,および保存過程において天然のメタンハイドレートの一部は氷になっており,氷とメタンハイドレート混合試料中のメタンハイドレートの含有量を知る手段としても役立つことがわかった.
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Research Products
(1 results)