2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間における液体の相転移およびガラス転移の熱力学的研究
Project/Area Number |
15750015
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
高原 周一 岡山理科大学, 理学部, 講師 (20289135)
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Keywords | ナノ空間 / 液体 / 相転移 / ガラス転移 / 熱測定 / 断熱型熱量計 / MCM-41 / SBA-15 |
Research Abstract |
1.試料合成:実験で使用するMCM-41 (メソ孔直径2-4nm)を合成した.均一なメソ孔が形成されていることをXRD測定,電子顕微鏡観察,窒素吸着等温線測定で確認した. 2.断熱型熱量計の作製:精密熱測定用の断熱型熱量計については,自動精密デジタル測温ブリッジをはじめとした測定機器の購入,試料セル・断熱シールド等の作製・組み立てを終え,ほぼ完成している.クライオスタットおよび真空排気系は現有のものを転用した.現在,自動計測システムの構築中であり,これが完成し次第,標準試料(安息香酸)の熱容量測定により測定精度および確度を確認する予定である. 3.MCM-41メソ孔内の水およびアセトニトリルの性質:断熱型熱量計による研究の準備として,水およびアセトニトリルを毛管凝縮させたMCM-41についてDSC測定および誘電率測定を行った.DSC測定の結果,メソ孔内の水およびアセトニトリルはバルクより低い融点を持つことがわかった.また,細孔サイズが小さい場合(メソ孔直径2nm)は,低温でも結晶化しないことがわかった.誘電率測定の結果,メソ孔内の水分子については,結晶化した場合でもアモルファス氷と同程度の回転緩和時間を持つことがわかった.これは,メソ孔内の氷が構造的にかなり乱れていることを示唆する結果である.また,メソ孔内のアセトニトリル分子については緩和時間の分布が大きいことがわかった.これらの系について断熱型熱量計で熱容量測定を行うと,メソ孔内での融解・ガラス転移についての精密な情報が得られると期待される.
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