2003 Fiscal Year Annual Research Report
π共役ポルフィリン多量体を用いたポルフィリンナノチューブの創製
Project/Area Number |
15750028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 明彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20359657)
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Keywords | 超分子温度計 / ポルフィリン / 分子プログラミング / π共役 / 自己集合 / サーモクロミズム |
Research Abstract |
これまでに数多くの自己組織化ポルフィリン多量体が報告されている。複数のポルフィリンが集合化して形成する構造体のほとんどは対称性が高く構造が美しいことから、それらは分子性ナノオブジェクトとして注目を集めてきた。しかしながら、それらのマテリアルとしての機能開発はまだほとんど行われていない。本研究では、溶液中でサーモクロミズムを示す新規なポルフィリン集合体の開発に成功した。分子の自己集合化によるユニット間の電子的相互作用、自己集合の強さ、およびπ共役構造をチューニングすることによって新規なサーモクロミズムの開発を行った。 エチニレンを導入したポルフィリン1は0〜100℃の温度領域において緑⇔黄⇔赤の可逆的な色の変化を示した。サーモクロミズムは古くから化学者の関心を集めてきたが、ほとんどの場合その色変化の仕組みは不明瞭である。ましてや、ディスクリート分子集合体がマルチカラーのサーモクロミズムを示した例はほとんど知られていない。我々は、X線結晶構造解析、^1H-NMR、吸収スペクトル、およびCSI-MSによって、1が環状4量体を形成していることを明らかにし(図1)、その構造に基づいてサーモクロミズムのメカニズムを詳細に説明できることを突き止めた。 1の色変化が、生活温度である0〜100℃の幅広い温度領域で生じ、そして環状4量体というデスクリートな構造に起因することから、我々はこの系を"超分子温度計"と名づけた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akihiko Tsuda, Shigeru Sakamoto, Kentaro Yamaguchi, Takuzo Aida: "A Novel Supramolecular Multicolor Thermometer by Self-Assembly of a π-Extended Zinc Porphyrin Complex."Journal of the American Chemical Society.. 125. 15722 (2003)
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[Publications] Akihiko Tsuda, Haifeng Hu, Reiko Watanabe, Takuzo Aida: "π-Conjugated Multi-Porphyrin Box via Self-Assembly of an Ethynylene-Bridged Zinc porphyrin Dimer."Journal of Porphyrin and Phthalocyanine. 7. 388 (2003)
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[Publications] Dae Hwan Yoon, Sun Bae Lee, Jinhee Kim, Jong Kuk Lim, Naoki Aratani, Akihiko Tsuda, Atsuhiro Osuka, Dongho Kim: "Electrical Conduction through Linear porphyrin Arrays"Journal of the American Chemical Society.. 125. 11062 (2003)
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[Publications] Akihiko Tsuda, Yasuyuki Nakamura, Atsuhiro Osuka: "Synthesis of meso-β Doubly-Linked Porphyrin Tapes."Chemical Communications. 11062 (2003)
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[Publications] Akihiko Tsuda, Chikako Fukumoto, Takumi Oshima: "Self-activated Supramolecular Reactions : Effects of Cation Binding on Kinetics of Diels-Alder Reaction of Acyclic Oligoether-Quinones with Cyclopentadiene."Journal of the American Chemical Society.. 125. 5811 (2003)