2004 Fiscal Year Annual Research Report
オゾンを用いる新しい異常高原子価鉄酸化物の合成と物性・応用に関する研究
Project/Area Number |
15750050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 直顕 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (70346047)
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Keywords | 鉄酸化物 / オゾン / メスバウア分光 / 異常高原子価 / 薄膜 |
Research Abstract |
レーザーアブレーション法により異常高原子価Fe^<4+>イオンを含む新規ペロブスカイト型酸化物Sr_<1-x>Bi_xFeO_3(0【less than or equal】x【less than or equal】1)薄膜の作製を行った。これらの組成の酸素欠損を含む試料は、低酸素雰囲気中での合成が報告されているが、高酸素雰囲気下ではBiFeO_3とSrFeO_3に分解してしまうことから、今まで研究されていなかった。成膜時にオゾンを導入することにより、結晶性の良い薄膜を成長させることができた。試料に酸素欠損を含まないことは、^<57>Feメスバウア分光測定により確認された。薄膜は、SrTiO_3(001)単結晶基板上にエピタキシャル成長しており、Bi置換量が増えるにつれ、膜面垂直方向の格子定数が単調に増大した。このとき、抵抗率も金属から絶縁体へ単調に増加した。特に、x=0.33付近の組成試料は200K程度において、金属半導体転移的な挙動が観測された。また、EDX測定から、ターゲットのほぼ組成通りに薄膜が作製できることが分かった。つまり、オゾンの導入が、単に高酸化状態を作り出すだけではなく、Biの揮発を抑える働きをしていることが分かった。 一方、Sr_<1-x>Pb_xFeO_3(0【less than or equal】x【less than or equal】1)薄膜の作製を同様の方法で試みた。x=1(PbFeO_3)は、製膜できなかったが、x=0.5の薄膜は半導体的挙動を示した。 このようにオゾンと単結晶基板上へのエピタキシーの組み合わせが新物質発見に有効であることが実証された。
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Research Products
(2 results)