2004 Fiscal Year Annual Research Report
陽子誘起フラグメンテーションの標的核依存性からの反応機構の検討
Project/Area Number |
15750057
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
松村 宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (30328661)
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Keywords | 核反応 / フラグメンテーション / 中高エネルギー / 原子核 / 核化学 |
Research Abstract |
高エネルギー核反応における"フラグメンテーション"は,現在もなおその反応機構は明確になっておらず,様々なモデルが考案されてはいるが,はっきりとした結論が出ていない。この反応機構解明のために,1)入射粒子による軽核の生成の影響,2)標的核による軽核生成の依存性,3)軽核のエネルギースペクトル及び角度依存を手がかりにしたい。以上の情報を1.オンライン実験及び2.オフライン実験で行い,お互いの不得意な部分を相補しながら検討に用いるデータを取得することが本研究の趣旨である。なお,ビーム強度優先のため入射粒子には陽子にこだわらず,400MeVα粒子を選択した。研究に本質的な違いはない。また,前年に引き続き入射粒子による軽核の生成の影響を調べるために,最大500MeVの中性子誘起核反応による^<7.10>Beの収率測定を行った。 1.オンライン実験 前年度に引き続き検出器システムの開発を行った。検出器システムは大別して以下の3通りである。 (1)DE(Plastic scinti)-E(Si-SSD with fast-amp) (2)DE(Si-SSD with fast-amp)-E(Si-SSD with fast-amp) (3)DE(thin Si-SSD)-E(Si-SSD モノシリック) (1)については十分な時間分解能を得ることができたが,エネルギー分解能には改善の要がある。しかし,(3)との組み合わせで測定上限粒子を増やせる可能性があるので引き続き検討を行う。(2)については,チェンバーに改造を行い散乱試料から約60cmの位置に設置した。検出器信号の読み出し系統を1GHz以上の帯域を持つ高速なものに変更し時間分解能を確保した。(3)について,DE検出器の分解能はmassを分離するには至らず,何らかのtime-pick-up検出器を併用する必要がある。 2.オフライン実験 α粒子及び中性子誘起の核反応における^<7.10>Be生成断面積をγ線スペクトロメトリー及び加速器質量分析により測定した。標的は前年測定していないものを選び,既存データを補完する結果が得られた。昨年は3標的と標的数が少ないながらも見られた,α核反応は光核反応と一致し,中性子核反応より^<10>Be/^7Be生成比が小さくなる特徴が,標的核が増えたことでより明確になってきた。
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