2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度表面増強近赤外分光法の開発とその非破壊血液分析への応用
Project/Area Number |
15750071
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
池羽田 晶文 関西学院大学, 理工学研究科, 研究員 (40342745)
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / 近赤外分光法 / 屈折率 / 吸光度 / Kretschmann配置 / 光学定数 |
Research Abstract |
近赤外(NIR)分光法はその場測定可能な非破壊分析法として多方面へ応用されている.しかし,NIR領域における吸収は微弱なため,微少な試料の測定には不向きであった.そこで表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した超高感度なNIR分光法,SPR-NIR分光法の開発を行った.この方法は実屈折率応答型SPRセンサで汎用されるKretschmann配置に基づき,複素屈折率の虚部,即ち試料の吸光度を増強させて観測するものである. 前年度,フレネルの式を用いた光学設計に基づいて作製したKretschmann配置型の測定用アタッチメントに,温度調整機能を備えたフローセルを新たに追加した.これにより同一の光学条件で濃度の異なる溶液などを連続して測定することが可能になった.具体的実験としてはアルコール水溶液,グルコース水溶液などを用いて濃度の定量が可能であることを示した.溶質濃度の定量としては主に2種の方法を提案した.1)SPRピークの変化から直接測定する方法この方法ではSPRを使わない場合に比べて数百倍の感度が得られるが,従来のLambert-Beerの法則に基づくスペクトル解析は使用できないため,センサとしての使用が期待できる.2)共鳴から外れた条件を用いる方法.この方法で得られるスペクトルは吸光度の増強は高々数十倍だが,従来のスペクトルと同様に扱うことが出来ることが明らかになった. このように吸光度が高感度に測定できるSPR-NIR分光法だが,これに加えて屈折率のスペクトルも同時に測定できることを示した.これはクラマース・クローニッヒの関係を使わない吸収一屈折率の分離であり,外部参照値を使わずに正しい屈折率を算出する全く新しい方法である.屈折率からも溶質濃度の定量は可能であるが,この方法はむしろこれまで注目されてこなかった,近赤外領域における材料の光学定数決定に役立つものと考えられる.
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Research Products
(2 results)