2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィリン環状オリゴマーのナノ空孔を用いた新規炭素ナノ材料の創出
Project/Area Number |
15750078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田代 健太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40332598)
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Keywords | 金属ポルフィリン / フラーレン / 抽出 |
Research Abstract |
本年は、金属ポルフィリン環状二量体をホストとして用い、フラーレン混合物からの特定のフラーレンの抽出を試みた。ベンゼンを原料とする燃焼法により生成したすすからの抽出物(フラーレン混合物)に対し、亜鉛ポルフィリンの環状二量体をトルエン中で混合し、生じた複合体を分離後、複合体を解離して、ホストに取り込まれていたフラーレンを単離した。抽出物のHPLCによる分析の結果、サイズの大きなフラーレン(高次フラーレン)が選択的に抽出されていることが分かった。ホストの空孔サイズに対するフラーレンの選択性を調べたところ、サイズが上がるにつれて、高次フラーレンへの選択性が上昇し、最も大きな空孔サイズのホストを用いた場合には、フラーレン混合物中に一割のみ存在した高次フラーレンが、97%まで濃縮されていた。また、この濃縮過程で、元々0.4%含まれていたC_<96>が最大37%まで濃縮されることも分かった。また、フラーレンの選択性はポルフィリン部位の構造にも大きく依存し、立体的なかさ高さの低いポルフィリンの方が、高次フラーレンに対する選択性は高かった。さらに、これらの選択性の発現は、各フラーレンとホストとの親和性の差によることが、滴定実験によって確かめられた。一段階の抽出では、抽出率はそれぞれのフラーレンの含有率に依存する。そこで、抽出操作を三回繰り返し、各フラーレンの含有率の変化を追跡した結果、元々0.1%以下であったC100以上のフラーレンが80%以上まで濃縮され、これらに対するホストの親和性が極めて高いことが明らかになった。
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[Publications] Tatuya Yamaguchi, Noriyuki Ishii, Kentaro Tashiro, Takuzo Aida: "Supramolecular Peapods Composed of a Metalloporphyrin Nanotube and Fullerenes"Journal of the American Chemical Society. 125. 13934-13935 (2003)