2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15750084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 佳亮 京都大学, 工学研究科, 助手 (60346088)
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Keywords | 環化反応 / スタニル化 / 共役エンイン / パラジウム / イミノホスフィン |
Research Abstract |
医薬品や天然物などの生理活性物質から、共役系高分子、液晶などの機能性有機材料に至るまであらゆる分子の機能発現に必須の構成単位である多置換芳香族化合物の新しい効率的合成法として、本研究はメタル化を伴う不飽和化合物の環化反応の開発を目的とする。今年度は共役エンイン化合物のスタニル化を伴う環化二量化反応による多置換フェニルスズ化合物の合成を検討した。目的の反応を触媒するさまざまな遷移金属錯体、配位子の組み合わせを検討した結果、(η^3-allyl)PdCpとイミノホスフィン配位子から調製した触媒存在下、種々の共役エンインとヘキサブチルジスタノキサンを反応させるとエンインの環化二量化反応がスタニル化を伴って位置選択的に進行し、多置換フェニルスズ化合物が収率良く得られることを見つけた。反応はカルボニルやシロキシ基、アルケニル、アルキニル基などの官能基を有する共役エンインでも、これらを損ねることなく官能基選択的に進行することが分かった。1-ペンテン-3-インのスタニル化環化反応によって得られた2,5-ジメチル-3-トリブチルスタニルスチレンを鍵中間体として、海洋天然物Alcyopterocin Nの全合成も達成することができた。次年度以降は異なる二種類のエンイン同士、あるいはエンインと他の不飽和化合物とのスタニル化環化反応を検討し、本反応によって得られる多置換フェニルスズの置換パターンを拡充するとともに、スタニル基以外にボリル基やシリル基を導入する同様の反応を検討していく予定である。
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