2004 Fiscal Year Annual Research Report
光化学変換素子創製のための有機光起電力発生材料を用いた新しい湿式系光電極の開発
Project/Area Number |
15750110
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
阿部 敏之 弘前大学, 理工学部, 助教授 (20312481)
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Keywords | 光電気化学 / 光電極 / 有機半導体 / 酸素発生 / 水素発生 |
Research Abstract |
本年度は、ペリレン系材料(n型半導体)およびフタロシアニン系材料(p型半導体)を用いた有機二重層系で湿式系光電極素子の開発研究を行った。以下に、研究実績の概要を示す: (1)真空蒸着法により、ITO基板上に、ペリレン誘導体、コバルトフタロシアンニンを順に積層したものを光電極素子とした。可視光照射下では、固(コバルトフタロシアンニン)/液(水)界面に酸化力が発生するため、結果として、光アノード電流の発生を伴って光誘起の酸素発生が起こることを明らかにした。本光電極系は750nm以下の広範な可視光エネルギーを効率的に吸収でき、さらに、本系は二重層の内部構造(p-n接合界面の形成)を反映した光物理過程を介して効率的なキャリアー移動を実現する等の特長を有する。本研究により、可視全域の光エネルギーに応答する光触媒系を有機材料により創出でき、さらに酸素の発生をももたらす初めての例を示すに至った。 (2)また、n型半導体としてフラーレン、p型半導体として無金属フタロシアンニンを用いて二重層フィルムを作製した場合、固(無金属フタロシアンニン)/液(水)界面で光アノード反応が起こることがわかった。酸素発生は認めらなかったが、新規な湿式系光アノードとして機能発現することを見いだした。 (3)さらに、n型半導体(ペリレン誘導体、もしくはフラーレン)とp型半導体(無金属フタロシアンニン)の積層順を上述の(1)や(2)の場合と逆にすると、固(n型半導体)/液(水)界面で光誘起の還元反応が起こることも明らかにした。特に、フラーレンをn型半導体として用いた場合には、触媒サイトの結合により水素発生が光誘起できることも明らかにした。
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