2004 Fiscal Year Annual Research Report
二次元自己組織化構造の新規制御法とインターラインケミストリーの創生
Project/Area Number |
15750112
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
飯村 兼一 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (10272220)
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Keywords | 自己組織化 / Langmuir膜 / ミクロ相分離 / ラインテンション / 構造制御 / ライナクタント / インターラインケミストリー / 有機シラン |
Research Abstract |
長鎖脂肪酸(Cn)と全フッ素化ポリエーテル酸(PFPE)の混合単分子膜においては、PFPEの膨張相の中にCnの凝縮相ドメインが分散した相分離構造が形成される。この構造は、線状から不定形、円形へとCnの鎖長と水面温度に依存して系統的に変化する。一分子中に炭化水素鎖とフッ化炭素鎖を有するライナクタントを合成し、展開溶液に添加して単分子膜を作製すると、わずか数%混合するだけで線状構造を形成する条件でも円形ドメインが形成されることがわかった。また、ドメインサイズはライナクタントの添加量とともに減少する傾向にあった。ライナクタントは水面上で、PFPEとは相溶するがCnとは非相溶であったことから、ライナクタントがCnドメインの周囲に吸着してラインテンションを低下させることで上述の構造変化が起っているものと考えられる。また、Langmuir水槽にBrewster角顕微鏡と光ピンセット装置を取り付けた装置を自作し、単分子膜の凝集力評価に適用した。単分子膜ドメインを力学的あるいは熱的に変形させ、その復元現象の解析から分子間の凝集性を議論できることを明らかにした。また、Cnとフッ化炭素鎖を有するシラン化合物から単分子膜を作ると、CnとPFPEの場合と同じように、鎖長と水面温度の関数としてCnの凝縮相構造が系統的に変化することを見出すとともに、その構造を鋳型として金属ナノ粒子を選択的に吸着させることにも成功した。また、適当な有機シラン化合物を用いることで、リソグラフィー法におけるネガ型とポジ型に相当する構造を作り分けられることも示した。今後は、有機シランの系にもライナクタントを混合するとともに、開発装置によって凝集力を評価することで、より詳細な構造制御が可能になるものと期待される。以上のことから、本研究では、インターラインケミストリーの糸口とそれを利用した自己組織化構造制御法を開拓した。
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