2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15750125
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00322066)
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Keywords | 磁性材料 / 光機能性材料 / スイッチング材料 / プルシアンブルー / 酸化鉄微粒子 / 分子集合体 |
Research Abstract |
固体材料で、光照射により磁気特性のスイッチング機能発現のための新手法として、「分子集合体を利用した光磁性制御」を提示し、本研究でその可能性について検討した。今年度具体的に、そのいくつかの例となるシステムを構築することができた。 はじめに、粘土鉱物を利用した高秩序構造をもつ光応答性磁性薄膜について検討した。「粘土-アゾベンゼン-プルシアンブルー複合膜」では、2Kにおいてアゾ化合物のシス-トランス光異性化に伴った高効率の磁性の変化(10%以上)を観測した。また、スイッチング実現温度を高めるため、より磁気転移温度の高いプルシアンブルー類似体(Ni-Crプルシアンブルー)を複合した系を構築した。その結果、50Kにおいての紫外光、可視光の交互照射により可逆な磁性スイッチングに成功した。さらに光磁性材料であるコバルト-鉄シアノ錯体を用い、「粘土-両親媒性化合物-光磁性」薄膜システムも構築した。この系では、ナノ規則構造をもつ薄膜において光誘起磁化現象を初めて観測することにも成功した。 さらに、磁性の光スイッチングの室温での実現を目的として、磁性材料として酸化鉄微粒子を用いた系について検討した。酸化鉄微粒子の表面電荷を利用した複合化を行い、目的の光応答性磁性微粒子を得た。実際には、両親媒性のN-オクチルアミンとともに、末端に水酸基をもつ両親媒性アゾ化合物を合成し、複合した。この微粒子は、低温では小さな,ヒステリシスをもつ強磁性を示し、紫外・可視光を交互に照射することによりその磁化率を可逆に制御することができた。さらに、室温では超常磁性的特性を示し、その磁化率は、やはり紫外・可視光を交互に照射することにより可逆に制御できることがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 栄長泰明, 田口実, 李光明, 秋津貴城, 顧忠沢, 須貝威, 佐藤治: "Magnetization Increase of Iron Oxide by the Photo-induced Aggregation of Spiropyran."Chem.Mater.. 15. 8-10 (2003)
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[Publications] 佐藤治, 速水真也, 栄長泰明, 顧忠沢: "Control of the Magnetic and Optical Properties in Molecular Compounds by Electrochemical, Photochemical and Chemical Methods"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 76. 443-470 (2003)
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[Publications] 田口実, 李光明, 顧忠沢, 佐藤治, 栄長泰明: "Magnetic Vesicles of Amphiphilic Spiropyran Containing Iron Oxide Particles on Solid State Substrate"Chem.Mater.. 15. 4756-4760 (2003)
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[Publications] 山本崇史, 室伏亜希子, 梅村泰史, 佐藤治, 栄長泰明: "Photoswitchable Magnetic Langmuir-Blodgett Films."Trans.Mater.Res.Soc.Jpn.. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 山本崇史, 梅村泰史, 佐藤治, 栄長泰明: "Photoswitchable Magnetic Films : Prussian Blue Intercalated in Langmuir-Blodgett Films Consisting of an Amphiphilic Azobenzene and a Clay Mineral."Chem.Mater.. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 栄長泰明, 三上理恵, 秋津貴城, 李光明: "Reversible Photocontrol of Molecular Assemblies of Metal Complex Containing Azo-Amphiphiles"Thin Solid Films. (掲載予定). (2004)