2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜貫通型蛋白質の合成を目的とする新規なペプチドライゲーション法の開発
Project/Area Number |
15750143
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 徹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (70273711)
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Keywords | ペプチド合成 / プペプチドチオエステル / ケミカルライゲーション / 拡張型ペプチドライゲーション / ライゲーション補助基 / 膜蛋白質 / 光反応 / N-Sアシル転移 |
Research Abstract |
近年,ペプチドセグメントを縮合することによる種々の長鎖ペプチド合成法が報告されている.本研究では取扱いの難しい難溶性膜貫通型蛋白質の合成を目的とする新規なペプチドライゲーション法の開発を目的としている.このような膜蛋白質やまた長鎖ペプチドを合成する場合,縮合部位の選択が重要な問題となる.そこで縮合部位の選択に柔軟性を持たせるため,性質の異なるチオエステル法と拡張型ケミカル(ペプチド)ライゲーション(ネイティブケミカルライゲーション)法を組み合わせて長鎖ペプチドを合成する方法を開発した.アミノ末端に光除去性ライゲーショシ補助基を有するペプチドチオエステルのアミノ末端(およびチオール基)をチアゾリジンとして保護し,チオエステル法によりペプチドセグメントと縮合したのち,チアゾリジンの保護をはずした.拡張型ケミカルライゲーション法により,さらに別のペプチドチオエステルと縮合することによって長鎖ペプチドを合成することに成功した. また,N-Sアシル基転移反応を利用するペプチドチオエステルの新しい合成法を開発した.我々が開発したライゲーション補助基はペプチド鎖中において,酸処理により一部がN-Sアシル基転移反応(ペプチド結合からチオエステル結合)を起こすことが判明した.この現象を利用してペプチドチオエステルを合成することに成功した.今回は,固相担体上でFmoc法によりペプチド鎖の伸長を行い,酸処理ののちチオール交換反応によってペプチドチオエステルを取り出した.Fmoc法によるペプチドチオエステル合成にはさまざまな制約があるが,今回の方法では,直接チオエステルを合成した際に見られるラセミ化をほとんど伴わないことがわかった.これによりFmoc法によるペプチドチオエステルの合成法がより簡便になるものと期待される.
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Research Products
(3 results)