2003 Fiscal Year Annual Research Report
C-グリコシド結合を介した糖質への金属イオンの集積化と機能発現
Project/Area Number |
15750144
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
三方 裕司 奈良女子大学, 共生科学研究センター, 助教授 (10252826)
|
Keywords | 糖 / ジアミン / C-グリコシド / 白金 / パラジウム / フラーレン / 金属配位子 / O-グリコシド |
Research Abstract |
本研究では、一般的な糖含有金属配位子の合成法の開発と、それを基盤とした糖質への金属イオンの集積化とその機能発現を行っている。生体にとって欠かせない糖質と金属イオンとの組み合わせによって、新しい物質領域を開拓することを目的としており、新しい合成手法と新機能物質の創製を目指す。本研究計画では,様々な糖を用いた一般的なC-グリコシド配位子の開発を行い,糖質の近傍に加水分解を受けにくい形で金属イオンを集積させることにより,水溶液中での不斉水素化触媒へ応用するなど,新しい物性の開拓と分子変換プロセスの開発を目指している。 本年度の研究により,C-グリコシド結合を有するジアミン配位子の合成法が確立された。概略を以下に示す。アセトブロモグルコースをジメチルホルムアミドを溶媒としてソジオマロノニトリルと反応させることにより,C-グリコシド結合を有するジシアノ体を合成した。次にこのニトリル部位の酸化白金を用いた接触水素化によりジアミン体を得た。続いて糖の水酸基の保護基として用いているアセチル基の脱保護をナトリウムメトキシドを用いて行ったところ,アミン部位へのアセチル転位が起こったが,脱保護を塩酸加水分解を用いて行うことにより,目的物である糖連結ジアミン体が高い収率で得られることがわかった。同様の合成ルートにより,ガラクトース連結ジアミン体の合成にも成功した。今後さらに別の糖を用いたC-グリコシド糖連結ジアミン配位子の合成を試みるとともに,得られた配位子を用いた金属錯体の合成とその機能解析を行う予定である。 さらに本年度,糖質-小分子複合体の生理活性にも着目して研究を行い、O-グリコシド結合を有する糖-フラーレン結合体,糖ジアミン-パラジウム錯体の合成に成功し,その生理活性が糖の種類により大きく変化することを見出した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Y.Mikata et al.: "Detection of 1270 nm Emission from Singlet Oxygen and Photocytotoxic Property of Sugar-Pendant [60]Fullerenes"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 13(19). 3289-3292 (2003)
-
[Publications] I.Brudzinska et al.: "Synthesis, Structural Characterization, and Antitumor Activity of Palladium(II) Complexes Containing a Sugar Unit"Bioorg.Med.Chem.Lett.. (印刷中). (2004)