2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15750161
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
阪元 洋一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80321602)
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Keywords | 有機電界効果トランジスタ / 有機半導体 / 電子移動度 / ペンタセン |
Research Abstract |
有機半導体は、有機EL素子や有機電界効果トランジスタなどの薄膜素子において、重要な材料である。これまでに種々の有機半導体材料が開発されてきたが、そのほとんどはp型の特性を示すものであり、n型のものは数少ない。 ペンタセンは有機p型半導体の代表的な分子であり、最も高いホール移動度を示すことから、活発な研究がなされている。一方、ペンタセンの水素をすべてフッ素置換したパーフルオロペンタセンは、低いLUMOと高い平面性を持つことが予想され、高い電子移動度を有する有機n型半導体として非常に興味深い分子であるが、これまでにその合成に関する報告はない。 そこで、我々は平成15年度にパーフルオロペンタセンの合成研究を行い、最近、この分子の合成に成功した。テトラフルオロフタル酸無水物とヒドロキノンを出発原料とし、5ステップで約15%の収率でパーフルオロペンタセンを得ることが出来た。この分子の単結晶を昇華法により作製し、X線構造解析を行ったところ、平面性の高い分子がπスタッキングを伴うカラム構造をとっていることがわかった。また、電気化学的測定より、ペンタセンと比較すると、その還元電位は約0.7Vポジティブ側にシフトすることがわかった。これらの結果からパーフルオロペンタセンは、高い電子移動度を有する有機n型半導体であることが期待できる。 実際にパーフルオロペンタセンを用いた有機電界効果トランジスタを作製し、その特性を評価したところ、パーフルオロペンタセンは優れた有機n型半導体であることが明らかとなった(電子移動度0.1cm^2/V.s, on/off比10^5)。この電子移動度は、これまでに報告されているn型半導体と比較しても高い値であり、今後、素子作製条件の最適化により、さらに改善されるものと期待される。
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