2004 Fiscal Year Annual Research Report
層状化合物とポルフィリンから形成される特異なナノ複合体とその光捕集機能
Project/Area Number |
15750162
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高木 慎介 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (40281240)
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Keywords | ポルフィリン / 層状化合物 / ナノ粘土粒子 / 分子配向制御 / 光エネルギー移動 / 無機有機複合体 / エバネッセント波 / 偏光吸収測定 |
Research Abstract |
これまでの申請者の研究により、ポルフィリン分子が粘土表面上で規則配列した複合体の構造が推定されている。この複合体では、ポルフィリン分子の間に適度な空隙空間があり、密に充填されていながら会合などの基底状態での相互作用を完全に抑制できるという極めて特異な構造を有する。すなわち、ポルフィリン分子は高密度な複合体を形成しつつも、励起状態の寿命が十分長いなど光化学反応を行うために優れた性質を有する。この複合体においては、四カ所のカチオン部位を有するポルフィリンを用いているが、この時にはポルフィリン分子は粘土平面に対して水平な配向をとっている。本究では、粘土平面に対するポルフィリンの配向角を能動的に制御し、ポルフィリンの光化学的性質や光エネルギー移動反応などの光化学反応を制御することを試みた。ポルフィリン分子の配向角制御については、従来用いてきた四価カチオン性ポルフィリン以外に、三価、二価、一価のカチオン性ポルフィリンを選択し、それらの配向角について偏光吸収測定などにより定量的に配向角を観察した。また、複合体周囲の雰囲気(溶媒、温度など)を変化させることにより、配向角がどのように変化するか観察を行った。特に、有機溶媒の種類として10種類以上のものについて検討し、どのような性質を有する有機溶媒が配向変化を誘起するのかについて検討した。その結果、溶媒の水素結合能力がポルフィリン分子の配向変化と強い相関を持つことが明らかとなった。水素結合性の強い溶媒中では分子配向変化は起きず、水素結合性の弱い溶媒中においてのみポルフィリン分子の配向変化が誘起された。ポルフィリン分子は配向変化により極大吸収波長が50nm以上もシフトする。したがって、本系は一種のソルバトクロミズム材料となりうることがわかった。
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Research Products
(4 results)