2003 Fiscal Year Annual Research Report
溶液均一混合による微結晶二重ペロブスカイト磁性体の結晶構造制御
Project/Area Number |
15750165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 隆史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60344488)
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Keywords | 二重ペロブスカイト / 微結晶 / 磁気抵抗 / 規則配列 / ゾルゲル法 |
Research Abstract |
二重ペロブスカイトSr_2FeMoO_6は室温で磁気抵抗効果を示し、これは粒界のトンネル伝導の外部磁場による変化と考えられている。このため、粒径を小さくすることで、さらに大きな磁気抵抗効果が期待できる。通常の固相反応では合成に高温焼成を必要とするため、粒径を小さくすることは難しい。本研究では、低温合成が可能な溶液混合による原料を用いた微結晶Sr_2FeMoO_6の合成について検討した。 硝酸ストロンチウム、硝酸鉄、モリブデン酸アンモニウムの水溶液に硝酸を加え、緑色のゲルを得た。ゲルを乾燥、粉砕後、空気中で焼成し前駆体を得た。さらに還元雰囲気下での焼成を行い微結晶Sr_2FeMoO_6を得た。生成物は微粒子であったものの、FeとMoの規則配列は低く、また不純物を含んでいた。磁気抵抗効果も室温では観測されなかった。そこで、仮焼粉をボールミルで粉砕混合を行ったのちに還元焼成を行うことで、単一相のSr_2FeMoO_6を合成することができた。しかし、FeとMoの規則配列は低いままであった。還元焼成の温度を上げるとFeとMoの規則配列は高まるが、逆に不純物量は増加した。そこで、FeとMoの規則配列は低いものの単一相として得られた900℃焼成の生成物を石英管に真空封入し、再焼成を行った。この再焼成により不純物量を増加させることなく、FeとMoの規則性を高めることができた。再焼成温度、時間などを制御することによりさらに規則性は高まり、室温での磁気抵抗効果も増大した。
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