2003 Fiscal Year Annual Research Report
導電性酸化物半導体を用いた新規無機ELシステムの開発
Project/Area Number |
15750168
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
園山 範之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (50272696)
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Keywords | 電気化学発光 / 透明導電性酸化物 / 希土類イオン |
Research Abstract |
本研究では、透明導電性材料として知られているMgIn_2O_4に、希土類イオンをドープすることで電界発光(EL)特性を付活し、新規EL材料を開拓すること及びその構造と発光効率との相関を明らかにすることを目的とした。 発光の評価は、ELと類似の励起機構を持つ電気化学発光(ECL)により行った。ECLはペレット状の焼結体をそのまま用いて評価できるので、容易な上、組成や構造と発光特性の相関を調べるのに適した方法である。 様々な希土類イオンをドープした試料MgIn_2O_4:REを合成し、ECL特性の評価を行った。MgIn_2O_4:RE電極はn型半導体特性を示し、アノード高電位分極下で、希土類イオンのシャープな発光が観測された。粉末X線構造解析より、希土類イオンはMgIn_2O_4構造の六配位位置を占めるIn^<3+>を置換する。合成法の比較から、希土類イオンの固溶の均一さがECL強度に影響を与えることが明らかとなった。 MgIn_2O_4:REはフォトルミネッセンス(PL)をほとんど示さなかったが、希土類濃度の増大に伴ってPL強度が向上した。局所的歪みにより希土類イオンのf-f遷移の禁制が一部許容されたためと考えられる。しかし、ECL強度は、希土類濃度が2%の試料までは強度の向上が見られたが、4%の試料では低下した。PL強度は向上していることから濃度消光とは考えられない。 そこで、試料電極の電気特性を評価するために電気伝導度の測定を行った。希土類濃度の増大に伴い、伝導率が急激に低下した。これは、MgIn_2O_4の優れた伝導性を担うIn^<3+>の電子の広がりにより形成される伝導経路を、希土類イオンが遮断するためと考えられる。希土類濃度の増大に対する伝導率及びECL強度の変化を比較すると、ECLの発光効率を保つにはある程度の伝導性が必要であると示唆される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 米村, 小東, 山田, 園山, 小林, 神山, 菅野: "Defect structure of LiMn_2O_4 after high-temperature storage"Electrochemistry. 71. 1160-1161 (2003)
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[Publications] 松村, 園山, 菅野: "Synthesis, Structure and Electrochemical Properties of Layered Material, Li_<2/3>[Mn_<1/3>Fe_<2/3>]O_2 with Mixed Stacking State"Solid State Ionics. 158. 253-260 (2003)
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[Publications] N.Sonoyama, S.Seike, T.Sueoka, T.Sakata: "Electrochemical Decomposition of Trihalomethane in Tap Water"J.Appl.Electrochem.. 33. 1049-1055 (2003)
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[Publications] N.Sonoyama, T.Sakata: "Electrochemical Hydrogenation of Chlorodifluoromethane (HCFC-22) at Metal and Metal-phthalocyanine Supported Gas Diffusion Electrodes"Adv.Environ.Res.. 8. 287-291 (2004)