2004 Fiscal Year Annual Research Report
導電性酸化物半導体を用いた新規無機ELシステムの開発
Project/Area Number |
15750168
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
園山 範之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (50272696)
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Keywords | 電気化学発光 / 透明導電性酸化物 / 衝突励起 |
Research Abstract |
本研究では、次世代無機ELデバイス材料となる発光素子材料の探索を目的とする。昨年度までの研究で、逆スピネル構造を持つMgIn_2O_4に希土類イオンをドープすると強い電気化学発光を示すことを見出した。今年度は、このMgIn_2O_4の構造と発光特性の相関をより明らかにするための研究を行った。希土類イオン濃度を変化させると、MgIn_2O_4のX線回折図形の反射のシフトが観測され、MgIn_2O_4と希土類イオンは固溶体を形成していることが判る。X線および中性子回折図形のリートベルト解析により構造の最適化を行った。その結果、ドープした希土類イオンはMgIn_2O_4の16dサイトのインジウムイオン位置に置換されていることが明らかになった。希土類イオンのドープ濃度を変化させると、光励起による発光(PL)強度は濃度に比例して増加したのに対して、電気化学発光は約2%にピークを示した。PLの結果より、この希土類イオン増加による電気化学発光の減少は、濃度消光ではなく母体のMgIn_2O_4:REの物性変化に起因すると考えられる。母体の電子導電性は希土類の添加により大きく減少している。MgIn_2O_4は8aサイトと16dサイトのインジウムイオンのネットワーク中を通過してきた電子が希土類イオンに衝突することにより発光すると考えられる。そのため、16dサイトのインジウムイオン濃度が過剰になると、電子導電性が低下して、希土類イオン励起効率が低下すると思われる。 また、MgIn_2O_4のマグネシウムを一部カルシウムに置換すると、電気化学発光強度が大きく増加することも明らかになった。
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Research Products
(2 results)