2004 Fiscal Year Annual Research Report
中性子ラジオグラフィーによるペロブスカイト型リチウムイオン伝導体の拡散係数の測定
Project/Area Number |
15750169
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高井 茂臣 国立大学法人鳥取大学, 工学部, 助手 (10260655)
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Keywords | 拡散係数 / 中性子ラジオグラフィー / リチウムイオン伝導体 / ペロブスカイト / トレーサー拡散 / 同位体 / リチウム / Haven ratio |
Research Abstract |
ペロブスカイト型構造を示すLa_<2/3-x>Li_<3x>TiO_3は室温付近でも高いリチウムイオン伝導率(〜10^<-3>Scm^<-1>)を示し,基本的にAサイトにはLa, Liおよび空孔が分布し,Liイオンは隣接するAサイトが空孔の時に移動し,拡散するものと考えられている.この系は数多くの研究がなされてきているが,適当なリチウムイオンの拡散係数の測定法が無いために,拡散係数の精密な測定は行われてこなかった.本研究では^6Liと^7Liの中性子の吸収断面積が大きく異なることを利用して,^7Liからなる試料中の^6Liの分布を中性子ラジオグラフィーにより求め,トレーサー拡散係数を測定した.試料は通常の固相反応法で調製し,^7Li_2CO_3あるいは^6Li_2CO_3を用いることにより同位対比の異なる試料を用意した.拡散試料は^7Liのみからなる試料の端面に^6LiNO_3飽和溶液を塗布し,所定の温度でアニールした.中性子は京大原子炉実験所CN-3冷中性子ガイドチューブより取り出し,イメージングプレートにより透過像を求め,同位体濃度プロファイルから拡散係数を得た. 得られた拡散係数はLa_<2/3-x>Li_<3x>TiO_3でxの大きい方が拡散係数が小さく,拡散係数をAサイトの空孔の割合に対してプロットすると,高温では僅かに切片が残るもののほぼ比例関係を持ち,隣のAサイトが空孔であるほど拡散しやすいというモデルと整合性を示した.また,電気伝導率からNernst-Einsteinの関係を用いて求めた拡散係数Dsとの(Haven ratio)をとったところ,イオン間の相互作用が相対的に小さくなる高温ほど,Aサイト副格子が形成する擬単純立方格子の相関係数0.65に近づいた.また,La_<1/3-x>Li_<3x>NbO_3系の拡散係数についても同様の実験を行っており,Aサイトの空孔の割合がずっと高いものの,それでも空孔の多い方が拡散係数が高いことを確認している.
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Research Products
(3 results)