2003 Fiscal Year Annual Research Report
脱離をともなう開環重合を基盤とした自発的ブレンド形成能のある高分子材料の開発
Project/Area Number |
15750175
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
羽場 修 山形大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70261328)
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Keywords | 固相重合 / カチオン重合 |
Research Abstract |
1 研究の目的と本年度の目標 本研究では、1,3-オキサチオラン部位を有する高分子を合成し、これに開環重合を適用することによって生成するポリマーの構造を解析することを目的とする。本年度はこのうち以下の2点について検討することを目的とした。 (1)重合性に対する脱離基の構造の影響を検討することを目的として、2位に様々な置換基を導入した1,3-オキサチオラン化合物を合成し、その重合挙動を検討する。 (2)(1)の結果をもとにして1,3-オキサチオランの2位に重合性を有する基を導入して、1,3-オキサチオラン部位を有する高分子を合成する。 2 本年度の研究成果の概要 (1)2位の置換基の構造が重合性に及ぼす影響について検討を行うため、ベンゾフェノンのかわりに(a)4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノンのようなパラジ置換ベンゾフェノン、(b)アセトン、シクロヘキサンなどの脂肪族ケトン、(c)アセトフェノン、ベンズアルデヒドのような非対称カルボニル化合物、を用いて1,3-オキサチオランを合成し、それぞれの重合性を検討した。いずれの重合も対応するカルボニル化合物を脱離しながら進行し、ポリアルキレンスルフィドが得られた。このことから本研究で取り扱った重合反応が、2,2-ジフェニル体に限られたものではなく広く一般性を有するものであることがわかった。(a)の検討ではベンゼン環上に電子供与性基が結合すると重合性が増大することがわかった。(b)、(c)での検討のように芳香環を減らして行くと順次重合が遅くなり、開環重合を促進するためには、反応中間体において2位の置換基による共鳴安定化が重要であることが示唆された。 (2)(1)の知見をもとに、オキサチオラン環の2位に4-ビニルフェニル基を有する化合物を合成し、これをラジカル重合することにより側鎖にオキサチオラン環を有するポリスチレン型の高分子を合成することに成功した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Osamu Haba: "A New Class of Cationic Ring-Opening Polymerization of 2,2-Diphenyl-1,3-oxathiolanes Accompanying Quantitative Elimination of Benzophenone"The Journal of Polymer Science, Part A : Polymer Chemistry. 印刷中.