2003 Fiscal Year Annual Research Report
分光エリプソメトリを用いた低対称異方性結晶の誘電率テンソル測定とバンド構造解析
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15760008
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
沈 用球 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (20336803)
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Keywords | CaGa_2S_4 / エリプソメトリ / 誘電率 / 光学異方性 / 光学定数 / ワイドギャップ / バンド構造 / 発光母体材料 |
Research Abstract |
本研究は発光母体材料として期待される異方性ワイドギャップ材料CaGa_2S_4の誘電率テンソルを測定し、バンド構造に関する知見を得ることを目的としている。 そのために平成15年度中は分光エリプソメーターを用いて、異方性材料に対する誘電率スペクトル測定法について考察を行った。 まず、エリプソメトリ測定法は測定面の表面状態に非常に敏感なため、測定時におけるCaGa_2S_4の表面処理法について考察を行った。その結果、ブロム-メタノール溶液に浸したレンズペーパー上で研磨することで結晶表面に付着した自然酸化膜等を除去できることがわかった。つぎに、測定中に結晶表面を覆う自然酸化膜による測定誤差について検討を行った。異方性材料のエリプソメトリ測定は結晶方位や入射角を変えて測定を行うため、測定時間が長くなりこの影響が比較的大きなものとなってしまう。本研究では、ある一定の自然酸化膜の被覆後に測定を行い、その後、計算処理により表面被覆層の除去を行う方法により、測定用の被覆膜による影響を最小限にすることに成功した。 CaGa_2S_4は光学2軸性結晶であるため6つの誘電率成分を持つ。すべての成分を求めるには最低、2つの異なる結晶面が必要となるが表面状態が同じ2つの面を用意することは困難なため、ここでは(100)面のみを用いて主誘電率のyy、zz成分を求める方法について検討した。Aspnesの近似法を用いて解析した結果、70°の入射角で測定することで、(100)面だけを用いても、yy、zzの主誘電率成分を求められることを見出し、両成分の誘電率スペクトルを得ることができた。今後は、この誘電率スペクトルを用いて特異点解析をおこない、バンド構造との関係について明らかにしていく。 その他、透過型エリプソメトリ測定を行うための測定系の構築を行った。
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