2003 Fiscal Year Annual Research Report
スピンデバイス開発のための円偏光二光子励起を利用した高偏極電子の生成,輸送と検出
Project/Area Number |
15760009
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松山 哲也 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (70347508)
|
Keywords | スピン偏極電子 / 円偏光二光子励起 / 発光の偏り |
Research Abstract |
本研究は,半導体スピンデバイス開発に必要な高スピン偏極電子の生成,輸送および検出に関する研究を行い,スピン偏極特性,スピン輸送特性,スピン緩和特性など半導体中でのスピン依存現象について調べることを目的としている.研究初年度にあたる本年度は,円偏光二光子励起による高スピン偏極電子の生成に関する研究を行った.歪みや量子閉じ込め効果を利用して価電子帯の縮退を分離し共鳴励起することでスピン偏極電子を励起していた従来の方式と異なり,円偏光二光子励起を用いるスピン偏極電子生成法では,価電子帯の縮退を分離することなく光学遷移を制限し高いスピン偏極度を持つ電子を生成することが可能である.そのため,スピン偏極電子を,1)バルク試料中で生成可能である,2)共鳴励起に限らず非共鳴励起状態でも生成可能である,3)半導体試料内部で生成可能であると考えられる.まず,測定試料にバルクGaAsを,励起光源に現有装置である波長可変の光パラメトリック発振器を用い,試料を円偏光二光子励起し試料からの発光の偏りを測定することにより,特定の励起波長での高スピン偏極電子の生成を確認した.次に,光パラメトリック発振器の波長を1200nmから1600nmまで変化させ,発光の偏りを測定することにより,伝導帯に励起された電子のスピン偏極度の励起波長依存性を測定した.その結果,従来の方式に比べ,広い励起波長域で高スピン偏極電子が得られることを確認した.また,励起光の焦点位置を変えながら,バルク試料裏面からの発光の偏り,二層構造を持つ試料の発光スペクトルおよび発光の偏りを測定し,試料内部での局所的なスピン偏極電子の生成を確認した.
|