2003 Fiscal Year Annual Research Report
インジウム・セレン多結晶薄膜の構造制御と薄膜太陽電池への応用
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15760012
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
岡本 保 木更津工業高等専門学校, 電気電子工学科, 助教授 (80233378)
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Keywords | In_2Se_3 / III-VI族化合物半導体 / 多結晶薄膜太陽電池 / 欠損性ウルツ鉱構造 / タンデム型太陽電池 |
Research Abstract |
欠損性ウルツ鉱構造を有するγ-In_2Se_3は、禁制帯幅1.9eVの直接遷移型半導体であり、タンデム型太陽電池のトップセル用材料として適している。申請者はこれまでに、MBE法によりγ-In_2Se_3多結晶薄膜の作製を試みてきたが、作製した膜にはα-In_2Se_3(禁制帯幅1.4eV)がかなり含まれていた。本研究では、製膜条件の制御によりIn_2Se_3多結晶薄膜の構造制御を行い、電気的・光学的特性の評価を行った。 In_2Se_3多結晶薄膜は、製膜温度を400℃または500℃とし、VI/III比は1〜60の範囲で変化させた。X線回折測定の結果よりVI/III比が10以上と大きいときには、γ-In_2Se_3とα-In_2Se_3両方の回折ピークが観測されているが、VI/III比を4以下と小さくすることにより、α相をほとんど含まないγ-In_2Se_3多結晶薄膜が得られていることがわかった。しかし、VI/III比を1とさらに小さくすると、組成比が1:1の層状構造を有するInSeが形成されることがわかった。 また、電気的特性の評価を行ったところ、γ-In_2Se_3多結晶薄膜が得られているVI/III比4では暗導電率が10^<-9>S/cm程度と非常に高抵抗であることがわかった。一方、VI/III比を40以上に大きくすると暗導電率は増加した。これは層状構造を有するα-In_2Se_3の含有量が増加したためと考えられる。これに対して、VI/III比を1と減少させた場合には層状構造を有するInSeが形成されるが、暗導電率は10^<-5>S/cm程度に増加した。また、VI/III比4でAM1.5,100mW/cm^2のソーラーシミュレータ光を照射したときの光導電率が10^<-5>S/cm程度であり、光感度(σ_<photo>/σ_<dark>)が4桁程度と大きな値が得られた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 青木 達朗, 中駄 良成, 岡本 保, 山田 明, 小長井 誠: "In_2Se_3多結晶薄膜の電気的・光学的特性"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. 1629 (2004)