2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関川 太郎 東京大学, 物性研究所, 助手 (90282607)
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Keywords | 高次高調波 / 無分散波長選択 / FROG / パルス幅計測 / アト秒パルス |
Research Abstract |
本年は、高次高調波のパルス幅計測法の確立を主眼として研究を進めた。具体的には、高次高調波パルスの無分散波長選択法として金属多層膜鏡を採用し、測定可能なパルス幅計測の限界を目指した。究極的には、アト秒パルス計測を視野に入れてのことである。具体的には、超短パルスチタンサファイアレーザーを広帯域に波長変換することにより青色レーザーを発生した。原理的にはパルス幅が半分になる。計画では15fs位のパルス幅を期待していたのだが、実際に得られたパルス幅は20fsであった。その原因を光線追跡をすることにより解明した。計画より長いパルス幅であったが、これまで40fsのレーザーを使っていたので、さらに短いパルス幅をもつ高調波の発生が期待される。波長変換して得られた青色レーザーを用いて9次高調波を発生した。その際ビーム形状をドーナツ型にし、高調波発生後、絞りを用いて基本と高調波を分離した。若干の散乱光はあるものの、パルス幅計測に支障のない程度に基本波を除くことに成功した。無分散波長選択の一つの方法である。ついで、FROG法により高調波のパルス幅を計測したところ4fsであることがわかった。このパルスを集光した時、パルス幅が短いため電場強度がかなり大きくなることが期待され、それにより、高次高調波による非線形現象が起こることが期待される。この高調波をヘリウムガスに集光したところ、2光子吸収による光電子を観測することに成功した。高調波のエネルギーは27.9eVとヘリウムのイオン化エネルギー(25.6eV)より大きい。これは、いわゆるAbove Threshold Ionizationと呼ばれるもので、これまで観測された中では最高エネルギーである。自己相関法によるパルス幅計測へつながるもので、その意義は大きい。
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[Publications] T.Togashi, T.Kanai, T.Sekikawa, S.Watanabe, C.Chen, C.Zhang: "Generation of vacuum-ultraviolet light by an optically contacted, prism-coupled KBe_2BO_3F_2 crystal"Optics Letters. 28. 254-256 (2003)
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[Publications] T.Kanai, X.Zhou, T.Sekikawa, S.Watanabe, T.Togashi: "Generation of sub-TW, sub-10 fs violet pulses at 1-5 kHz by broadband frequency doubling"Optics Letters. 28. 1484-1486 (2003)
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[Publications] T.Shimizu, T.Sekikawa.T.Kanai, S.Watanabe, M.Itoh: "Time-Resolved Auger Decay in CsBr by Using High Harmonics"Physical Review Letters. 91. 017401 (2003)
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[Publications] T.Sekikawa, T.Kanai, S.Watanabe: "Frequency-resolved optical gating of femtosecond pulses in the extreme ultraviolet"Physical Review Letters. 91. 103902 (2003)