2003 Fiscal Year Annual Research Report
パラメトリックX線源の空間コヒーレンシーと偏光状態の研究
Project/Area Number |
15760039
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
早川 恭史 日本大学, 理工学部, 講師 (40307799)
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Keywords | 単色X線 / コヒーレント / 直線偏光 / 相対論的ビーム / 電子線形加速器 |
Research Abstract |
相対論的な電子ビームをシリコンのような単結晶に照射した際に発生するパラメトリックX線放射(PXR)をさらに分光結晶を用いて輸送する2結晶タイプのシステムで得られるX線について調べた。計算の精度をこれまでより高くし、X線の偏光の状態や、集光ミラーを用いた場合の単色性についてシミュレーションを行った。その結果、X線プロファイルの垂直方向の分布では垂直方向に直線偏光しており、エネルギーも放出方向によらず一定であることが示された。また、その方向について集光を行う場合、10^4程度の輝度向上が期待でき、単色性もエネルギー広がり0.1%を確保できることがわかった。現在、シリコン単結晶干渉計を用いて得られるX線の干渉像をシミュレートするコードを、シンプルな点線源モデルを用いて開発することを検討している。 実験的にはこ加速器の調整運転の際にPXR発生装置からのX線の観測を開始した。3個目の分光結晶を用いた測定によって発生装置を調整することを試みたが、放射線遮蔽に用いている鉛の特性X線がバックグラウンドとなり固体検出器でのスペクトル測定は困難であった。分光結晶の角度に応じてバースト的にX線検出器が飽和することがあったが、安定してはいなかった。これは電子ビームの軌道の変動を反映している可能性があり、軌道の安定が加速器への要求としては最も厳しいことが示唆された。 また、X線のイメージングを行うために、シンチレータとCCDを組み合わせた廉価版のX線カメラを用意しており、シャッターを加速器に同期させるためのゲートユニットを準備中である。
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