2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 秀幸 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助手 (60334257)
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Keywords | 部分放電 / カオス / フラクタル / 非線形力学系 / 不連続写像 / 高電圧工学 / エルゴード理論 |
Research Abstract |
1.部分放電サークルマップの数理的な解析 交付申請書の「本年度の研究実施計画」で示した通り、放電数がカントール関数になる条件を検討した結果、等価回路モデルから帰着できる部分放電サークルマップに関しては、厳密な意味のカントール関数にはならないことが明らかになった。さらに、本研究により明らかになった数理的な性質を、予備的な実験の結果とともに論文にまとめた(Europhysics Lettersに掲載が決定)。部分放電の分野においては、最も古く単純なモデルである等価回路モデルのふるまいが実は複雑であることを示すものであり、力学系の分野においては、等価回路モデルがinterval translation mappingsという近年注目されている写像のクラスの中のあるクラスに帰着可能であることを示す、両分野において画期的な内容の論文であると言える。 2.各種部分放電モデルの解析 また、交付申請書の「研究の目的」で示した通り、部分放電分野への応用も本研究の重要な柱であるが、本研究で得られた数理的な理解を、部分放電診断等の技術的な分野に応用するために必要な研究を進めている。具体的には、予備的な実験で問題となった確率的なふるまいを抑え、より精緻な実験によって数理モデルのふるまいを検証することのほかに、部分放電モデルの側に、漏れの効果など、現実的な効果を加えた数理モデルのシミュレーションを行うことによっても検証を進めている。特に、実験データからモデルのパラメータの推定を行うことによって、部分放電診断や、放電データの効率的な圧縮を実現できる可能性が今年度の研究で見えてきたため、今後、技術的な分野への応用をさらに進める予定である。
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