2003 Fiscal Year Annual Research Report
疑似生体環境下の力学的組織挙動評価と非侵襲診断技術への応用
Project/Area Number |
15760052
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐久間 淳 東京農工大学, 工学部, 助教授 (60274180)
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Keywords | 生体組織 / 粘弾性 / 診療 / 医用工学 / 数値シミュレーション / 有限要素法 / 制御 / 変形解析 |
Research Abstract |
生体の力学的因子による損傷については,現狂シミュレーションによる評価手法が盛んに検討されており,特に有限要素解析は症例の発生要因評価,手術方法リハビリ手法の検討など多くの場面で活用されている.ただし,これに必要とされる構成式などの生体組織の力学的物性値に関しては,基本的なデータベース構築が急がれているが未だ十分な状態には無いと言える.特に,その高信頼性を要求される複雑な現象の解析に物性値に関しては,その計測法等も含めて改善すべき点は多い. そこで本研究では,生体組織の中でも特に非線形性が強い軟組織を対象として,力学的物性値を同定する方法について検討した.特に,引張試験による挙動評価の高精度化を目的として,動作の信頼性確認と疑似生体環境糟の開発を実施した. まず,従来から開発していた粘弾性引張試験機に関して,複雑な速度制御を可能とするパルスコントローラ用ボードを制御用コンピュータに追加し,これによる動作をレーザ変位計にて計測することで動作の信頼性確認を行った.この結果,開発した試験機では引っ張る過程の動きに速度リップル(ゆらぎ)が存在することが明らかとなり,従来から適用していた物性値同定法の精度が低いことが明らかとなった.これに関しては,(1)低リップルの機器に更新する,(2)実際に引っ張った速度を同時計測して物性値を同定する,という2通りの対策を検討したが,現有設備のそのまま利用できる対策(2)で研究を継続することとなった. また疑似生体環境糟については,密閉容器を貫通するロッド部の低摩擦化を目的として,容器貫通部を膜構造にする方法について検討を加えた.この結果,ゴムパッキン構造による方法よりも良い測定結果を得られることを確認した. さらに平成16年度に関しては,生体環境糟の開発の仕上げと,さらに引張試験との対応関係を明らかにできる押込試験機の開発を計画通り実施する予定である.
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