2004 Fiscal Year Annual Research Report
超細粒材料の原子間力顕微鏡および結晶方位解析によるナノスケール疲労損傷機構の解明
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15760057
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 英彦 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60345923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓介 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80026244)
秋庭 義明 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (00212431)
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Keywords | 超細粒鋼 / 疲労き裂伝ぱ / ナノスケール観察 / 結晶方位解析 / 微視組織 / EBSD / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
(1)昨年度に行った超細粒鉄鋼材料(Ultrafine材)および比較的粗大な比較材(Medium材)における疲労き裂発生挙動の解明に引き続き,本年度は疲労き裂の伝ぱ挙動を解明した.Ultrafine材では,結晶粒径が小さいほどき裂伝ぱ抵抗が低くなるという従来の知見と異なり,Medium材や粗粒材よりも疲労き裂伝ぱ抵抗が大きくなる優れた特性を見出した. (2)Ultrafine材における優れた疲労き裂伝ぱ抵抗は,破面粗さ誘起のき裂閉口が原因であることを解明した. (3)結晶粒径が小さいにも関わらず破面粗さが増加する要因は,粒界および粒内における分岐が主要因であることが解った. (4)EBSD法による結晶方位解析に基づいて,き裂先端の応力特異場における活動すべり系を計算する「すべり因子」の概念を導入し,計算結果が実際の活動すべり系と良く一致することを示した.これにより,き裂先端微小領域で結晶方位を考慮したすべり挙動評価が可能となった. (5)粒界分岐き裂は結晶方位が大きく異なり,かつすべり方向が不連続な結晶粒間の粒界で発生する向が強いことがわかった. (6)粒内分岐き裂は{110}方位を有する結晶粒内で優先的に発生し,この方位ではすべり因子が最大の活動すべり系が同時に22個存在するため,非常にすべり変形が起こりやすいことがわかった.疲労き裂が結晶粒界に近づくにつれ粒界阻止効果により転位が堆積し,き裂先端と粒界の問にすべりが起こりにくい領域が形成され伝ぱ速度が低下する.疲労負荷の増加に伴い,き裂先端で最も活動的なすべり系のひとつが再駆動して,すべり変形が起こりにくい領域を避けるように分岐すると考えられる. (7)中性子回折測定の結果,Ultrafine材は粒内分岐を引き起こす結晶方位が優先的に存在するため,破面粗さ誘起のき裂閉口が増加して疲労き裂伝ぱ抵抗に優れると結論づけられる.
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Research Products
(6 results)