2003 Fiscal Year Annual Research Report
連続経路変化を伴う大ひずみ多軸変形下における多結晶体の力学的特性と最終組織予測
Project/Area Number |
15760063
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 一郎 岡山大学, 工学部, 助手 (10263625)
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Keywords | 塑性変形 / 多結晶金属 / 二軸圧縮 / 機械的性質 / 金属学的組織 / 結晶方位 / 大ひずみ |
Research Abstract |
本研究では多結晶金属を主な対象とし,経路変化を伴う二軸圧縮塑性変形下において,材料の力学的特性および組織変化をミクロからマクロまで連結的に解明することを最終目的としている.平成15年度はその初年度として,まず,本研究を遂行するにあたって不可欠な,経路可変型の大ひずみ二軸圧縮試験装置を完成させた.また,本装置が多結晶金属材料の変形に充分な剛性を有することを確認した.次に,本研究の第1段階として,多結晶銅を用い,異なる圧延率で予備冷間圧延を行った後,773Kまたは873K1時間保持炉冷の条件で焼鈍を行うことにより,初期機械的性質および初期異方性を種々に制御した試験片を準備した.その際,873Kで焼鈍を行った場合には,予備圧延率が大きくなるほど面内異方性も成長する傾向が得られたが,773Kの場合には,焼鈍温度が低いにも拘わらず予備圧延率を大きくしても異方性にほとんど差がみられなかった.このことは,面内異方性の主因である集合組織は圧延のみに支配されるのではなく,熱処理条件との組合わせによって決定されることを示唆している.また,それらの試験片を用いて,1軸拘束状態で圧縮変形を加え,後続する塑性変形に伴う機械的性質変化について検討を行った.その結果,異方性を示す板面に対して垂直に圧縮した場合,平行に圧縮するよりも加工硬化が進行することがわかった.この結果は,初期集合組織が後続変形における硬化異方性に及ぼす影響の一端を表すものであるが,このような現象の総合的な解明および物理的裏付けについては,今後研究を進める上で明らかにする予定である.一方,平成15年度中に計画していた単結晶材に対する二軸圧縮試験についても既に準備を整えており,平成16年度当初に実施する計画である.
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