2004 Fiscal Year Annual Research Report
連続経路変化を伴う大ひずみ多軸変形下における多結晶体の力学的特性と最終組織予測
Project/Area Number |
15760063
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 一郎 岡山大学, 工学部, 助手 (10263625)
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Keywords | 塑性変形 / 多結晶金属 / 二軸圧縮 / 大ひずみ / ひずみ経路 / 機械的性質 / 金属学的組織 |
Research Abstract |
平成16年度は特に,大変形領域における除荷を伴わないひずみ経路急変が多結晶金属の力学的挙動に及ぼす影響を明確にすることに重点をおき,主として初期集合組織を制御しやすい多結晶純アルミニウムを用いて研究を進めた.まず,丸棒素材のほぼ中央部から直方体形状の試験片を切り出し,厳密な温度制御のもとに焼鈍を行うことにより,初期の力学的性質を等しく揃えた多数の二軸圧縮用試験片を準備した.それらの試験片を用いて,二軸圧縮と平面ひずみ圧縮を組み合わせた数種類のひずみ経路を設定して試験を行った.その結果として,相当ひずみが等しい場合でも,ひずみ経路が異なると最終的な相当応力に大きな差が生じること,大変形領域においてひずみ経路が急変した際には相当応力が一時的に上昇し,しばらくの停滞領域を経て経路急変前の応力ひずみ関係を外挿した曲線へ漸近していくことを示した.次に,この応力の一時上昇に対する,ひずみ経路急変前の予ひずみ量および経路変化角の影響について定量的に検討した.その結果,相当応力の一時上昇量は予ひずみ量に伴ってほぼ線形的に増加することを明らかにした.また,予ひずみ量が大きくなると停滞領域後の応力も徐々に増大することを示した.一方,経路変化角の影響について,応力の一時上昇量は,角度が小さいときにはほとんど現れず,45度を超えたあたりから指数関数的に増加することを明らかにした.このような大変形領域における経路急変時の特異挙動およびその後の力学的性質変化については,多結晶金属における微視構造的因子と集合組織形成に起因する塑性異方性が重畳的に影響していると考えられ,実際に集合組織測定を行って,経路変化の有無によって形成される集合組織が異なることも確認している.今後は理論への組込みを容易にするために,これらの要因の影響を分離して表現する試みを進める予定である.
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