2005 Fiscal Year Annual Research Report
連続経路変化を伴う大ひずみ多軸変形下における多結晶体の力学的特性と最終組織予測
Project/Area Number |
15760063
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 一郎 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (10263625)
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Keywords | 塑性変形 / 多結晶金属 / 二軸圧縮 / 大ひずみ / ひずみ経路 / 機械的性質 / 金属学的組織 |
Research Abstract |
平成17年度は,比較的大きな塑性変形領域における力学的挙動のひずみ経路依存性に関し,稠密六方構造で強い異方性を有する純チタンを用いて研究を進めた.すなわち,面心立方構造である純アルミニウムの結果と比較することによって,微視的組織および塑性異方性の影響が力学的挙動に及ぼす影響を明らかにすることを試みた.その結果として,純チタンでは二軸圧縮に伴う集合組織形成が顕著であるために,経路変化後の応力値がひずみ経路に依存して大きく変化することを示した.また,アルミニウムにおける交差硬化挙動と異なり,ひずみ経路急変に伴って応力値の一時低下が現れること等を見い出した.これらの知見は,純チタンの有する塑性異方性が力学的挙動に及ぼす影響の大きさを示唆しており,塑性加工時の工程設計において材料構造を考慮することの重要性を表すものである.一方,大ひずみ多軸変形を工学的に応用する新しい試みとして,多結晶アルミニウムに対して,二軸圧縮の途申でひずみ経路を折り返すことによって元の形状へ復元させる「往復ひずみ経路」を与え,素材としての材料特性向上を目指す研究を開始した,数種類のひずみ経路について検討した結果,同じ累積ひずみ量で比較した場合,往復ひずみ経路を選択した方が一方向変形時よりも高い流れ応力を示すこと,往復ひずみ経路におけるひずみ比が小さくなるほど流れ応力の上昇が著しいこと等を明らかにした.これらの成果は大ひずみ多軸変形を材質改善に応用する可能性とひずみ経路選択の重要性を示しており,さらなる検討を進めることによって今後の実用化に繋げていきたい.
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