2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ気孔を有するセル構造体の動的接触機構に関する研究
Project/Area Number |
15760087
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 健 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50332515)
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Keywords | 気孔 / セル構造体 / 接触機構 / 摩擦 / 摩耗 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ナノ気孔を有するセル構造体の静的接触及び摩擦・摩耗に及ぼす気孔率,気孔径の影響を明らかにすることにより,ナノ気孔を有するセル構造体の動的接触機構を解明することである. 平成15年度では,成長黒鉛鋳鉄(気孔率:6.72%),成長黒鉛鋳鉄の切削粉を原料として開発された気孔率がほぼ等しく(気孔率はそれぞれ19.1%,17.7%)気孔径分布の異なる2種類の多孔質鋳鉄材料を用いて,含油条件下における摩擦・摩耗特性に及ぼす気孔率,気孔径の影響を明らかにした.摩擦試験及び摩耗試験は,ボールオンディスク型摩擦・摩耗試験装置により,すべり速度0.001m/s〜4m/s,ヘルツ最大接触圧力100MPa〜700MPaの広範囲な条件で行った.相手材には軸受鋼球(SUJ2)を用いた. 本研究でこれまでに得られた主な結果は以下のとおりである. 1、成長黒鉛鋳鉄は,低すべり速度高接触圧力領域及び高すべり速度領域において,油膜破断により0.2以上の摩擦係数を示すのに対して,成長黒鉛鋳鉄に比べて気孔率の大きい2種類の多孔質鋳鉄材料は,今回摩擦試験を行った条件下では,明確な油膜破断を起こさず,すべての条件下で0.2以下の摩擦係数を示す. 2、成長黒鉛鋳鉄は,低すべり速度高接触圧力領域及び高すべり速度領域において,1×10^<-8>mm^2/N以上の比摩耗量を示すのに対して,2種類の多孔質鋳鉄材料は,今回摩耗試験を行ったいずれの条件下においても1×10^<-8>mm^2/N以下の比摩耗量を示す. 3、気孔径分布の異なる2種類の多孔質鋳鉄材料において,気孔径分布をより小気孔側へシフトすることにより,25%の摩擦係数の低減,75%の比摩耗量の低減が得られた.
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