2004 Fiscal Year Annual Research Report
機能性トライボ分子膜のナノ流動特性の計測および解析
Project/Area Number |
15760090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
張 賀東 名古屋大学, 情報科学研究科, 助手 (80345925)
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Keywords | 光応用計測 / 顕微干渉法 / 位相シフト法 / 低コヒーレンス / 三次元画像計測 / ナノ分子膜 / PFPE / 表面流動 |
Research Abstract |
トライボ分子膜の機能を定量的に解明するために,高い潤滑性能をもつフッ素系高分子液体(PFPE)を対象として,単層から数層までの分子膜が表面エネルギーの低い領域から高い領域へ流動するナノ流動現象に着目する.このようなトライボ分子潤滑膜のナノ表面流動現象を直接可視化するために,リニーク型マイケルソン顕微干渉法に位相シフト法を適用することによって干渉縞画像を位相画像に変換して,潤滑膜の表面形状を三次元画像として測定する方法を開発した.これまでに得られた結果を要約すると以下のとおりである. (1)空間分解能を向上するために,測定面側と参照面側にそれぞれ対物レンズを配置したリニーク型顕微鏡を用いた.しかし,対物レンズ特性の差異によって,干渉縞の変形が生じ,測定誤差となる.このような縞変形は画面に固定されているために,ディスク表面上に存在するうねりや面粗さと等価と見なせる.そこで,あらかじめ縞変形の大きさを同定しておき,これを測定値から差し引く方法を導入した.これにより,測定精度の向上を実現した. (2)観測された潤滑膜厚さから実際の厚さを換算するための較正曲線を定式化するとともに,磁気ディスクの前面反射を利用する場合には大幅に感度が低下するが,透明ディスクの背面反射を利用すれば,感度の低下がほとんど生じないディスク構造が存在することを見出した. (3)測定感度が最も高くなる構造をもつ透明ディスクを作成し,それを用いた背面反射を利用し,厚さ約10nmの段差状潤滑膜の境界からの表面流動特性を実測した.その結果,エリプソメトリーを用いた測定結果と一致しており,本手法により潤滑膜の表面流動をナノメートルの精度で可視化できることを確認した.
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Research Products
(4 results)