2003 Fiscal Year Annual Research Report
反応性希薄気体流れのマルチスケール解析と半導体製造プロセスへの応用
Project/Area Number |
15760103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崎山 幸紀 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20345086)
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Keywords | マルチスケール解析 / CVDプロセス / 分子動力学 / 表面反応 / シリコン薄膜 |
Research Abstract |
本年度は,半導体製造プロセスにおいて最も基本的なSiH_4/H_2混合試料からSiエピタキシャル膜が生成される成膜過程を対象として,表面反応素過程の分子動力学解析を行なった.これまでは比較的,入射分子の並進エネルギーが低い場合を対象として実験及び解析がなされてきたが,高並進エネルギーを有する超熱状態のSiH_4分子の動的過程に関しては未解明な部分が多い.本研究では,このような超熱状態のSiH_4分子がSi(100)表面に入射する際の初期解離過程に着目して古典分子動力学解析を行なった.原子間ポテンシャルには既存のTersoff,Murty,Brennerポテンシャルをそれぞれ仮定し,まず,これらポテンシャルモデルの本解析系への適用性を検討した.Si(100)表面におけるSiH_4分子の解離は,ダイマー内とダイマー間の2つの経路から生じることがDFT計算により報告されている.解析の結果,上記のポテンシャルモデルはダイマー内での解離障壁を2倍程度高く見積もることが明らかとなった.次に,多数回の衝突計算を行なってSiH_4分子とSi(100)表面相互作用モデルの構築を試みた.まず,並進エネルギーを0.2〜2.6eVまで変化させ解離吸着確率の並進エネルギー依存性を計算したところ,実験値の数分の一程度の値しか得ることができなかった.これは上述のように解離障壁を高く見積もりすぎていることに原因があると考えられ,ポテンシャルモデルの修正を行なうことで実験値との整合性がとれるものと推測される.また,反射分子の並進エネルギー分布を解析したところ,熱平衡状態のマクスウェル-ボルツマン分布と正規分布の重ね合わせで表現できることがわかった.
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[Publications] 崎山幸紀, 高木 周, 松本洋一郎: "CVDプロセスにおける多重スケール解析(第2報 分子間ポテンシャルモデルの拡張)"日本機械学会論文集 B編. 69・681. 1021-1027 (2003)
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[Publications] 崎山幸紀, 高木 周, 松本洋一郎: "CVDプロセスにおける多重スケール解析(第3報 全衝突断面積及び散乱角モデルの構築)"日本機械学会論文集 B編. 69・681. 1028-1034 (2003)
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[Publications] 徳増崇, 崎山幸紀: "数値流体力学ハンドブック第7章(希薄流の数値解析)"丸善株式会社. 33 (2003)