2003 Fiscal Year Annual Research Report
縮流ノズル内壁面境界層の再層流化と液体噴流自由界面波との関連性
Project/Area Number |
15760117
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 和宏 姫路工業大学, 工学研究科, 助手 (80347525)
|
Keywords | 縮流ノズル / 液体噴流 / 壁面境界層 / 再層流化 / 自由界面波 / せん断層安定性 |
Research Abstract |
高エネルギービームの液体金属ターゲット流を模擬した水噴流実験を行い,縮流ノズル出口の壁面境界層と自由界面性状の関連性を調査した。また,壁面境界層が剥離することにより生ずる自由界面下せん断層の安定解析を行い,自由界面波を予測するとともに,せん断層内の擾乱が減衰し,自由界面波の発生が抑制される安定条件を評価した。 レーザー流速計による速度分布計測から,比較的噴流速度の低い条件におけるノズル出口境界層は,縮流ノズル内部における境界層の再層流化により層流となるが,流速の増加に伴って再層流化が不完全となり,噴出時の境界層は乱流へと遷移することを確認した。再層流化が不完全となる流速条件は,加速パラメータによる予測とほぼ一致する。また,噴流自由界面には,ノズル出口直下流に可視的な波の生じない平滑領域が現れ,その下流から,自由界面下せん断層の不安定性に起因した周期性の高い2次元波が発生する。平滑領域および2次元波領域は,噴流平均流速の増加につれて減少した後,やがて消失し,自由界面は3次元的に乱れた波に覆われる。境界層測定との比較から,平滑領域の消失は,ノズル内部の再層流化が不完全となる流速条件よりもやや高流速側となることが明らかとなった。本領域の消失は,壁面境界層内のせん断力が増加することによる,せん断層内の乱れの増加が原因と考えられる。 自由界面下せん断層の安定解析から,せん断層内の最も増幅される擾乱を評価することにより,水噴流実験およびターゲット流を模擬したリチウム噴流実験に現れる2次元波を予測できることが明らかとなった。また,不安定解が対流不安定性を示すことから,理論解析が実験事実を模擬し得ることを確認した。安定領域は,せん断層厚さにもとづくウェーバ数が1.8以下となる条件に生じ,これを満たすようにせん断層厚さを薄くするなど,自由界面波の発生を抑制するノズル設計への指標を得た。
|