Research Abstract |
液相内の蒸気相界面に空間的曲率差が存在すると,表面張力効果により,蒸気相重心の移動や蒸発凝縮を伴う蒸気相内部での蒸気輸送が生じる.本研究では,この蒸気泡ポンプ効果を効果的に利用するマイクロループヒートパイプの開発を目的とし,マイクロチャンネルプレートを積層したループヒートパイプを試作し,その流動伝熱特性を調べた. プレートには,長さ76mm,幅19mm,厚さ0.2〜0.25mmのSUSプレートにレーザー貫通加工で最小流路幅250μm,最大流路幅2mmの面内ループを形成したもの,同長,同幅,厚さ0.3mmのPETプレートに最小流路幅4mm,最大流路幅15mmの面外ループを形成するものの2種類を準備した. エタノールを冷媒とし,水平設置条件でループヒートパイプの動作実験を行った.結果として,面内循環式のSUSプレートを用いた場合,積層厚さ0.4〜2.6mmの範囲内では,厚さ2.1mmにおいて熱輸送量が最大となり,最大熱輸送量が9.7Wおよび熱伝導率550W/mK(@ΔT=13.2K)を記録した.また,熱輸送量が限界に達すると加熱部でドライアウトが生じ,急速に熱輸送性能が低下する現象が見られた. 面外循環式のPETプレートを用いた場合,積層厚さ1.8mmで良い性能を発揮し,等価熱伝導率500W/mK,最大熱輸送量12.8W(@ΔT=34.2K)を記録した.また,実験範囲内ではドライアウトは観察されず,耐熱温度の高い部材の利用で,さらに高い性能が期待される. さらに,循環流と熱抵抗によるループヒートパイプの熱輸送モデルを構築し,解析を行った結果,加熱部と冷却部の熱抵抗を低減することで,さらなる熱輸送性能の向上が期待できることが示された.
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